がんとつきあう/脱毛脱毛の対処法

抗がん剤(化学療法)や放射線のがん治療に伴う脱毛は、命には関わらないものの、患者さんの心に与える影響の大きな副作用のひとつです。

見た目にも変化の大きい脱毛、とりわけ髪の毛が抜けることは、心のダメージへとつながりがちです。髪の毛を洗うときや、くしでとかすときにごそっと抜ける髪の毛に不安を感じたり、床に落ちた髪の毛を見てよりふさぎ込みがちになったりと患者さん本人にとってみれば、脱毛は決して軽く考えることのできない副作用といえます。

治療開始前から治療内容に応じた準備を行い、経過に合わせたケアをすることで、脱毛と上手に付き合っていきましょう。

脱毛前

  • 髪を短くカットする
    治療開始前に髪を短くカットすることで、髪の毛が抜けることへのマイナスイメージを和らげることにつながります。髪の毛が長いと、その分抜け毛の量が多く感じられるものです。
  • パーマ・カラーは避ける
    頭皮や毛根への刺激ともなるパーマ・カラーは避けましょう。
  • かつら(ウィッグ)を購入する
    髪の毛が抜けやすいタイプの抗がん剤(化学療法)を投与する場合など、頭髪の脱毛が考えられる場合には、事前にかつら(ウィッグ)を購入しておくのも一案です。

かつら(ウィッグ)には医療用やファッション用、部分かつら(ウィッグ)、全体かつら(ウィッグ)、オーダーメイド、既製品など、種類や価格帯もさまざまなものがあります。用途に合わせて、自分に合ったものを選びたいものですが、治療により頭皮が敏感になっているため、頭皮にやさしい素材のものがオススメです。

インターネットや通販でも購入できますが、できれば実際の素材や着け心地を確かめてから購入したほうが安心です。オーダーメイドのものを手に入れる場合には、製作期間がありますので、早めの注文が肝心です。

脱毛中

ヘアケア

頭皮が敏感になっている脱毛中は、ヘアケアも大切です。

  • 爪を短く切る
    髪を洗っている最中に頭皮を傷付けたり、髪の毛が爪に絡まったりすることのないよう、爪は日頃から短くカットしておくようにします。
  • 低刺激なシャンプー・リンスを使用する
    頭皮への刺激が少ないシャンプー・リンスがオススメです。指のはらでやさしく洗い、頭皮に洗浄成分が残らないようにしっかりと洗い流しましょう。リンスは少量を毛先だけに使用します。頭部へ放射線治療を行っている場合は、シャンプー・リンスは使用せず、ぬるま湯で洗い流す程度にとどめます。また、傷をつくらないようにすることも重要です。
  • ドライヤーの使用は控えめに
    ドライヤーの使用は最小限に、頭皮に直接刺激を与えないように弱風・低温で使用します。
  • ブラシは毛先の柔らかいもので
    頭皮への刺激が少ない、毛先が柔らかく目の粗いブラシで、できるだけ頭皮に触れないようやさしくゆっくりと髪の毛をとかします。放射線治療により頭皮に炎症がある場合には、ブラシの使用は避けます。
  • 育毛剤の使用は控える
    早く毛が生えてほしいからといって育毛剤を使うのは避けましょう。刺激の強い育毛剤は、毛根にダメージを与えることにつながります。
  • パーマ・カラーを避ける
    脱毛前に続き、頭皮・毛根への刺激となるパーマ・カラーは避けます。治療の妨げとならないよう、再開は主治医と相談することが大切です。

外出

脱毛の症状が現れると、外出するのも億劫になりがちですが、かつら(ウィッグ)や帽子などのグッズが外出の心強いサポーターとなってくれます。

  • かつら(ウィッグ)
    脱毛前から準備しておくのがオススメです。必要に応じて利用すれば、脱毛しているときの外出も安心です。ファッション性の高いかつら(ウィッグ)でオシャレを楽しむのも手ですが、医療用かつら(ウィッグ)ほど頭皮に直接触れることを考慮されておらず、蒸れやすく地肌への刺激になりやすいことが考えられるので、使用する際は注意しましょう。
  • 帽子・キャップ
    脱毛は治療に伴う一時的な副作用であることや地肌への影響がかつら(ウィッグ)ほど大きくないため、帽子やキャップを使用するのもよいでしょう。
    種類やデザインが豊富で、素材や色、形など自分の好みに合わせて選びやすいのも帽子やキャップならでは。中には、帽子代わりにスカーフを上手に使いこなす達人もいます。
  • マスク
    脱毛は髪の毛だけに起きるわけではありません。鼻毛にまで影響を及ぼすこともあります。鼻毛がなくなると鼻から細かな異物を吸い込みやすくなるので、外出する際は、鼻を保護するためのマスクが必需品です。
  • サングラス
    まつ毛や眉毛の抜け毛には、見た目だけでなく、直射日光を避けてくれるサングラスがオススメです。

自宅

  • キャップ
    自宅でもキャップやスカーフ、バンダナなどを使用すれば、髪の毛が落ちることを防いでくれるため、精神的なダメージを和らげる効果につながります。寝具に髪の毛が付くことを予防してくれるナイトキャップもあります。

脱毛自体は避けられなくてもさまざまな工夫で心身へのダメージを和らげることは可能です。治療による一時的なものであることを念頭において、ケアしていきましょう。

【監修】埼玉医科大学国際医療センター 乳腺腫瘍科 教授 佐伯俊昭 先生

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