がんとつきあう/リンパ浮腫リンパ浮腫ふしゅ(むくみ)の対処法

リンパ浮腫は、リンパ節郭清(切除)手術療法や放射線治療によって引き起こされる副作用のひとつです。手術の部位によって、手術した側の腕や脚にだけ浮腫を生じることがあります。

治療後すぐに生じることもあれば、10年以上経ってから生じることもあります。一度発症したら治りづらく、症状が悪化すると、日常生活に支障を来すこともあります。しかしながら、適切なケアを行うことで、無理なく日々の生活を送ることができます。

お買い物

例えば、買い物をする際にはキャリーバッグやカートを利用する、荷物を宅配で送るなど重い荷物は持たないようにして、身体に負担をかけない工夫が必要です。

皮膚を清潔に保って乾燥を防ぐために、保清保湿もしっかり行います。虫刺され、すり傷などのちょっとした傷や日焼け(皮膚が炎症を起こしている状態)は感染を引き起こしやすく、それが原因で腕や脚全体に炎症が広がることもあるので気を付けましょう。

また、肥満はリンパ液を流れにくくするため、標準体重を維持することも大切です。

リンパ浮腫を予防し、悪化させないためには、日常的な心がけは重要ですが、気にしすぎない程度に、無理なく、適切な日常のケアと医療的ケアを行っていきましょう。

日常生活のポイント

スキンケア

石鹸で手を洗う

  • 肌を清潔に保つ
  • 石鹸はよく泡立てて使う
  • 保水保湿で乾燥を防ぐ
  • すり傷・切り傷に気を付ける。ペットのひっかき傷にも注意
  • 虫刺されに気を付ける

衣類など

  • 家事等の際にはゴム手袋で保護する
  • 長袖の上着や日傘などを用い、日焼け対策を行う
  • 衣類・靴下・下着は、身体を締め付けずゆったりとしたものを選ぶ
  • 時計、指輪、ゴムバンドなど身体を締め付けるものは避ける
  • ヒールの高い靴は避ける

体重

  • 標準体重を維持し、太りすぎないようにする

その他

  • 刺激の強いサウナや長時間の入浴は避ける
  • 腕や脚を心臓より高くして寝る
  • 重いものは持たない
  • 疲れが残るような激しい運動は避け、適度な運動を行う
  • 長時間同じ姿勢でいないようにする

医師による治療

リンパ浮腫を専門的に診療している医療機関で、症状に応じた適切な治療を受けるようにしましょう。リンパ浮腫には、用手的リンパドレナージ、圧迫療法、圧迫した状態での運動を組み合わせた治療を行います。

用手的リンパドレナージ

通常のマッサージや美容目的のリンパドレナージとは異なるため、専門の医療機関で治療を受けることがとても重要です。皮膚をやさしくさすることで、腕や脚に溜まったリンパ液を正常にリンパ節へと誘導し、浮腫を取る医療的マッサージです。

圧迫療法

リンパ浮腫はリンパドレナージだけでは改善しないため、リンパドレナージでリンパ液の流れをスムーズにした後は、圧迫療法で浮腫の軽減につなげます。リンパドレナージと圧迫療法を組み合わせることが浮腫改善のポイントで、治療効果の持続が期待できます。症状が軽い場合には弾性着衣を用い、症状が重い場合には弾性包帯を用いるなど、症状によって治療法は異なります。

  • 弾性スリーブ

    図:弾性スリーブ2種(手甲まであるものとないもの)

  • 弾性グローブ

    図:弾性グローブ3種(指先の出るもの、指の出るもの、全て覆うもの)

  • 弾性ストッキング①

    図:弾性ストッキング(靴下タイプ)2種(膝下のもの、太ももまでのもの)

  • 弾性ストッキング②

    図:弾性ストッキング(タイツタイプ)2種(両足用、片足用)

運動療法

弾性着衣、弾性包帯などで圧迫した状態で、運動を行います。圧迫したまま、筋肉をゆっくりと動かすように運動します。関節を動かすことも浮腫の改善に効果的です。ただし、腕や脚への負担が大きい、過度な運動は避けましょう。

スキンケアをはじめとする日常のケアと、用手的リンパドレナージ・圧迫療法・運動療法の組み合わせによる医療的ケアで、予防と症状の改善につなげ、リンパ浮腫と上手に付き合っていきましょう。

【監修】埼玉医科大学国際医療センター 乳腺腫瘍科 教授 佐伯俊昭 先生

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