ハ行 がん用語集

がんについて耳にするいくつかの専門用語を集めています。
五十音順で探すことができます。

発がん物質 ( はつがんぶっしつ )

人間や動物において、がんを誘発する、がん発生率を増加させる、または、正常な細胞にダメージを与えてがん細胞に変化させる作用のある物質のこと。がんの発症は、その人自身の中にある遺伝的要因とともに、発がん物質や生活環境などの外的要因も大きな位置を占めています。よく知られている発がん物質には、魚や肉の焼け焦げ部分にあるトリプP-1、かび毒、肉類に含まれるニトロソ化合物があります。

病期分類 ( びょうきぶんるい )

どの程度がんが進んでいるのか、病気の進行度を判定する基準を「病気分類」といいます。「ステージはⅡ期」などといわれることがありますが、「ステージ」とは「病期」のことです。
国際的に使われているのは、国際対がん連合(UICC)が採用している「TNM分類」をベースに0期から4期までに大きく分けられ、臓器別に詳しい基準が定められています。また、日本では「癌取扱い規約」(臓器別に学会や研究会によって編集された小冊子で、主要ながんについて20を超える取扱い規約がある)による分類も使われることがあります。

標準治療 ( ひょうじゅんちりょう )

治療の有効性が最も高く、安全性が広く認められている治療のこと。国内外で行われた臨床試験によって得られた信頼できるデータをもとにした治療方法です。ただし、すべてに標準治療があるわけではなく、現在は胃がん、大腸がん、肺がん、肝がん、乳がん、脳腫瘍など、患者数が多いがんに対して設けられ、各医学会が編集する「治療ガイドライン」に標準治療が示されています。
なお、「標準治療以外の治療はしてはならない」と、患者にも医師にも誤解されやすいのですが、あくまで「標準治療が望ましい」ということで、その人に適した治療方法を選択して良いのです。

病変 ( びょうへん )

がんになると、身体を構成する組織に変化が起こりますが、このように、病気によって身体に生じた病的な変化のことをいいます。局所的な変化、全身的な変化があり、組織をとって病理検査をすることによって、がんの診断を確定することができます。

病理検査 ( びょうりけんさ )

病気が疑われる部位の分泌物や細胞、または切除した組織を顕微鏡で調べる検査のこと。がんがあるかどうかをはじめ、悪性か良性か、病気や進行度合い、今後の見通しや治療効果の予測なども可能です。病理検査には、細胞をみる「細胞診検査」と組織の形態をみる「組織診検査(生検)」があります。

腹腔鏡手術 ( ふくくうきょうしゅじゅつ )

体にやさしい手術といわれる「開腹しないでがんを切除」する方法です。お腹や胸に4~5ヵ所小さな穴を開けて、そこから内視鏡や手術器具を入れて、写し出されるモニター映像を見ながら、がんを切除します。開腹手術に比べると、患者への負担が少なく、術後の痛みが軽減される、回復が早いなどの利点もあります。なお、胃がんや大腸がんの場合は「腹腔鏡下手術」といいますが、肺がんの場合は「胸腔鏡下手術」といわれます。

副作用 ( ふくさよう )

検査や治療薬が原因となって、本来めざした作用や効果とは異なる作用などがあらわれ、身体に好ましくない状況が起きることです。医学的には、狭義に「医薬品の使用によって発現した有害な事象」といわれますが、「好ましくない身体の反応」ととらえて良いでしょう。

服用 ( ふくよう )

薬を飲むこと。薬が十分に効果を発揮するためには、用法や分量を正しく守ることが大切です。用法については、食後だけでなく食前服用、食間服用もあるので、タイミングに留意しましょう。

分子標的治療薬( ぶんしひょうてきちりょうやく )

がん細胞が増殖するとき、分子(遺伝子が生み出すたんぱく質)が重要な働きをします。その分子に作用して増殖の働きを妨げる薬が分子標的治療薬です。これまでの化学療法に比べると、がん細胞以外の正常な細胞へのダメージが少なく、新しいがん治療として期待されています。すでに、乳がんや悪性リンパ腫、慢性骨髄性白血病などに対する分子標的治療薬が認可され、がん治療に用いられています。

PET検査 ( ペットけんさ )

「PET」とは、ポジトロン(陽電子)放出断層撮影法(Positron Emission Tomography)のことで、がん細胞が、正常な細胞よりブドウ糖の取り込みが多いという性質を活用して、ブドウ糖に似せた薬剤を注射し、薬剤が集まったところ(がんと疑われる部分)を画像化する検査です。
一度の検査で全身が検索できて、微小ながんも発見可能、従来のがん検診では発見しにくい部位(頭や骨など)も診断できるといわれていますが万能ではなく、検査薬が炎症部分にも取り込まれること、胃がんや肝臓がんなどはPETでは見つけにくいともいわれています。そこで、PET検査と従来のCT検査などを組み合わせる方法が有効といわれ、今後の主流になると見られています。

放射線療法 ( ほうしゃせんりょうほう )

がんの三大治療のひとつで、放射線を体外または体の中からあてたり、放射性の薬剤を投与することによって、がん細胞を破壊したり、がんの症状の緩和を目的にした治療方法です。
従来の放射線治療は、がんの周囲の正常な組織にも放射線があたって副作用があらわれるなどの問題点がありました。ところが、90年代以降、めざましい技術的進歩で、正常細胞へのダメージや副作用は、少なくなっています。この治療方法が向いているがんは、舌がん、咽頭がん、喉頭がん、食道がん、肺がんなど。向いていないがんは、胃がん、肝臓がんなどです。
なお、「放射線療法は、治癒できない進行がん患者が対象」という誤解がみられますが、比較的早期のがんで治療効果が上がるのも放射線療法の特徴です。

ホスピス

ホスピスとは、ラテン語の「温かいもてなし」を語源とし、本来、治癒のむずかしい人の苦痛症状をやわらげ、最期までその人らしく生きるためのケアを提供する、という考え方であり、哲学ともいわれています。
現在では、ホスピス・緩和ケア病棟で、さまざまな痛みなどの症状コントロールを第一に、チーム医療によってQOLを高めることを原則としてホスピスケアが行われています。
最近では、外来や在宅でもホスピスケアが受けられるようになりました。

ポリープ

主に胃や腸などの消化管の粘膜にできるイボやキノコ型をした隆起性のできものをさします(鼻腔粘膜にできる鼻ポリープ、声帯にできる声帯ポリープなどもあります)。良性のものと悪性のものがあり、内視鏡の生検などによって病理検査を行い、悪性のものに変化する可能性があると診断されたときは切除します。
「ポリープはまったく心配ない」「ポリープはすべて切り取った方が良い」などと誤解する人が少なくありません。良性か悪性か、また悪性に変化するおそれがあるかなど、生検によって的確な診断のもとでの対処が大事です。

ホルモン療法

乳がんや子宮がん、前立腺がんなどの場合のように、ホルモンが深く関わるがんに対して、ホルモンの分泌や働きを抑える薬を用いた療法のことで内分泌療法ともいわれます。抗がん剤と比べて副作用が少なく、長期に使えるという特長があり、標準治療に組み込まれているホルモン療法剤も少なくありません。

【出典】「がん治療の前と後 納得できる治療を受けて、前向きに過ごす手引き」
【監修】医学博士 竹中文良 2010年 株式会社法研 発行

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