カ行 がん用語集

がんについて耳にするいくつかの専門用語を集めています。
五十音順で探すことができます。

ガイドライン

治療実績などをふまえた、科学的に信頼できる診断や治療の基準をまとめた指針です。日本では、厚生労働省や各学会がガイドラインの作成を行っています。がんの場合、「胃癌治療ガイドライン」「肺癌診療ガイドライン」「食道癌治療ガイドライン」「乳癌診療ガイドライン」などがあり、医師向けだけでなく患者向けのものもあります。ただ、ガイドラインは標準を示すもので、すべての患者に画一的な治療をすすめるわけではありません。

化学療法 ( かがくりょうほう )

がんの三大療法のひとつで、抗がん剤を使ってがん細胞の増殖を抑えたり、がん細胞を破壊する治療方法です。手術療法や放射線療法と組み合わせて行われることが多く、これを集学的治療といいます。化学療法は、手術ができない人のための治療と思われたり、放射線治療のことをさすという誤解もあります。薬剤の種類によっては、吐き気や脱毛などの副作用があらわれることがあります。

合併症 ( がっぺいしょう )

ある病気が原因となって他の病気が起こる、または、検査や手術、治療後に起こった病気を合併症と呼ぶこともあります。たとえば、消化器の手術後に腸が癒着して腸閉塞が起こるなどの状態があります。

がん遺伝子 ( がんいでんし )

ヒトには、約60兆個の細胞があり、それぞれの中に設計図ともいえる遺伝子があります。その遺伝子の中で、がんと深い関わりのあるものとして、細胞のがん化を促進する「がん遺伝子」と、逆に細胞のがん化を抑制する「がん抑制遺伝子」があります。通常、この二つの遺伝子は、がん化を促進したり抑制したりと調和を保ちながら、正常細胞を増殖しています。
ところが、さまざまな要因でどちらかの遺伝子に異常が起こると、がん化細胞が増殖してがんの発生へと進んでしまうのです。現在、がん遺伝子は約20種がわかっており、がん診療に活かすための研究が推進されています。そのひとつとして、遺伝子を調べることによってがん診断の精度を高め、治療効果を上げると期待されている「遺伝子診断」があります。

寛解 ( かんかい )

症状が一時的に、または永続的に落ち着いて安定した状態をいいます。がんが完全に消えた状態を「完全寛解」、がんの病変が縮小して症状が軽減した場合は「部分寛解」といわれます。病気が完全に治癒したと思いがちですが、再発しないで治癒することも再発する場合もあるので、主治医の説明が明確でないときは、どちらの側面が強いのか、尋ねてみましょう。

がん拠点病院 ( がんきょてんびょういん )

正確には「がん診療連携拠点病院」といいます。「がん対策基本法」(2006年制定)に基づいて厚生労働省が指定した「都道府県拠点病院47、都道府県内を分けた二次医療圏に1カ所の地域拠点病院304、合計351施設」をさします。目的は、がん医療の地域格差をなくし、全国どこでも一定のレベル以上の質の高いがん医療を提供することです。指定の施設では、化学療法、緩和ケア、セカンドオピニオン、標準治療などが提供できて、病診連携の体制があります。

がん対策基本法 ( がんたいさくきほんほう )

がんは、1981年以降、日本人の死亡原因のトップを占め、年間34万人を超える人ががんで亡くなっています。このような状況をふまえて、がんの罹患率と死亡率の激減を実現するために、2006年6月に「がん対策基本法」が成立しました(2007年4月施行)。
基本法では、「地域に関係なく、等しく適切な医療が受けられる」「本人の意向を十分に尊重し、治療方法などが選択できる体制を整備する」などを基本理念として、国や地方自治体、医師、国民などそれぞれの責務を明らかにしています。また、個別目標として、がん検診の受診率をあげる、治療早期から緩和ケアを導入する、放射線治療や抗がん剤治療の充実と専門家の育成なども挙げられています。

がん登録 ( がんとうろく )

がん患者を対象として、診療をはじめとした情報をもとに、事前に定めた項目について情報を収集・整理して、集計・解析を行い、がん医療や対策を支援・評価するために役立てる活動をさします。日本では、現在、地域のがん登録、院内のがん登録、全国臓器別がん登録が行われています。

がん抑制遺伝子 ( がんよくせいいでんし )

発がんを抑制する素因で、その機能をもつたんぱく質(がん抑制たんぱく質)をプログラムする「がん抑制遺伝子」の存在が明らかになっています。細胞のがん化を促進する機能をもつがん遺伝子が発見されたことによって、逆に発がんを抑制する遺伝子の存在が推測され、1986年にがん抑制遺伝子として「Rb遺伝子」が同定されました。次いで「p53遺伝子」が同定され、その後約30種類のがん抑制遺伝子がわかっていますが、「p53」は、現在最も重要視されています。

緩和ケア ( かんわケア )

がんなど生命を脅かす病気によって起こる痛みやさまざまな苦痛症状をコントロールすることです。病気からくる身体的な痛みだけでなく、心理社会的問題、スピリチュアルな問題に対しても対処することが大事といわれます。「緩和ケア」というと、治癒の見込みのない人に対して行われる医療と思われる傾向がありますが、WHOでは「疾患の早期より」と新しく定義され、日本でも、がん治療の現場では、がんの初期段階からの緩和ケア実施がすすめられています。

既往歴 ( きおうれき )

過去にかかったことのある病気をはじめ、健康状態の変遷や薬の副作用、妊娠・出産の経験、輸血の有無など、健康に関連した事柄。それによって、治療方法が適しているかどうか、薬の使用の是非なども判断する材料となります。医師にとって、患者自身が伝える既往歴は貴重な医療情報となります。

機能温存 ( きのうおんぞん )

できるだけ、臓器や組織の働きを損なわずに、機能を残す治療。機能温存術として、内視鏡切除、縮小切除などがあり、切除の範囲を少なくしたり神経を残すことなどで可能になります。代表的な温存術に、乳がんの「乳房温存術(乳房のふくらみを残すこと。乳がんの手術では、現在、温存術が主流になっています)」、直腸がんの「括約筋温存術(自然排便の機能を残すこと)」、胃がんの「幽門保存胃切除術(幽門部を残すこと)」などがあります。

QOL ( キューオーエル )

「Quality of Life」の略で「生命の質」「生活の質」という意味です。その人が自身で納得できる生活の質を保つことが大切ですが、病気や治療の副作用などによって、身体的にも精神的にも生活の質に変化が起きることがあります。ときには、日常生活に支障を来し、生活の質が低下してしまうこともあります。治療の選択には、このような生活の質を考慮することが大切なのです。

局所再発 ( きょくしょさいはつ )

最初にがんができた場所の近くに、再びがんが見つかることです。病気が治ったように思われても、がん細胞がごくわずかでも残っていたり、周囲に広がっていたりすると、いったんは完治したように思えても、時間をおいてから再び発見されることがあります。

禁忌 ( きんき )

医療用語としては、病気が悪化するなど、危険な状態になることが予測されることから、行ってはいけない治療や薬剤の使用を意味します。たとえ効果が実証されている治療方法でも、その人の体質や既往歴によって症状があらわれることもあります。そのため、薬剤の組み合わせや治療方法において、禁忌のルールが定められています。

クリティカルパス

入院の際、退院までの診療内容や治療の進め方などをわかりやすく、図表で示した計画表のことで「クリニカルパス」ともいわれます。入院中、いつどのような検査や治療を行うのかといったスケジュール、食事や投薬の注意点などが記され、医療者チームも同様の計画表をみて患者の治療やケアを行います。患者と医師が情報を共有するための大事なツールとなるものです。

血中濃度 ( けっちゅうのうど )

薬剤が血液中に存在する濃度のことで、投薬治療の場合は、薬の成分の濃度が一定レベルに達しないと効果があらわれません。ただし、一定レベルを超えた状態が長時間にわたって続くと、副作用が出現します。そのため、薬剤は血中濃度を見ながら、どの程度の分量を用いれば良いか定められています。

原発巣 ( げんぱつそう )

最初にがんが発生した場所にある「がんのかたまり」のこと。がん細胞は、発がん遺伝子が傷つくことで発生し、分裂・増殖してかたまりをつくります。さらに周囲のリンパ節などへ広がり、血液やリンパ液中を流れて別の場所で新たなかたまりをつくる、というプロセスで広がっていきます。治療を進めるためには、最初に発生した原発巣を見極めることが大事な要素となります。

高額療養費 ( こうがくりょうようひ )

保険診療での患者の一部負担金が同一医療機関内で1ヵ月間(同月内)に一定額を超える場合、それを超えた額が払い戻される制度があります。つまり、患者が支払う負担金の上限が設けられており、超過額は公的医療保険から給付されるのですが、その仕組みを「高額療養費(制度)」といいます。
1ヵ月あたりの自己負担額の上限は、70歳未満と70歳以上に分けられて、それぞれ所得区分に応じて定められています。なお、保険適用外で患者の実費負担となる「入院食事療養費」や高度先進医療などに関わる自己負担金などは対象外です。

効果判定 ( こうかはんてい )

その治療ががんにどの程度効きめがあるのか、効果を判定することです。判定の尺度として、抗がん剤や放射線療法の場合はCT検査や超音波検査、内視鏡検査などによって、がんのかたまりがどの程度縮小したかを測って判定します。また、胃がんや大腸がん、肝臓がんなどは、米国国立がん研究所が作った国際判定基準に基づいて判定されます。

抗がん剤 ( こうがんざい )

化学療法で用いる薬剤で、がんの増殖を抑えて、がんを死滅させる効果があります。がん細胞に直接作用し、攻撃されたがん細胞は回復することができないという効果の高い治療方法ですが、一方で正常細胞にも影響を及ぼし、脱毛や吐き気などの副作用があらわれます。
現在使われている抗がん剤は、約100種類あり、その中の分子標的治療薬は、「正常な細胞に影響を及ぼし副作用があらわれる」という抗がん剤の弱点を克服し、がん細胞だけを攻撃する薬として開発が進められ、期待が集まっています。

告知 ( こくち )

病名や病状に関して医師が患者に知らせ伝えること。かつて、がんが不治の病といわれていた時代は、患者に与える精神的ショックを考えて控えることが多かったのですが、治癒率が高まったことや、患者の知る権利と治療方法の選択の自己決定権が提唱されるようになり、がんを告知することは一般化しています。患者が自ら積極的に治療を選択して、がんと診断されたらためには重要なことですが、告知の方法や告知前後のフォローなどの課題も大きいのが現状です。

5年生存率 ( ごねんせいぞんりつ )

がんの再発は5年以内に生じることが多く、一般的に、5年を経ても再発しなければ治癒したとみなされます。「5年生存」が治癒の目的とみられ、がん治療の成績をあらわす指標にもなっています。

根治手術 ( こんちしゅじゅつ )

がんを完全に治すことをめざして行う手術です。がんは周囲の組織にも広がっている可能性があり、がんのかたまりを完全に切除するため、幅広く切り取ります。治癒手術、完全切除ともいわれます。がんの大きさや状態によって、定型手術(標準術式)の範囲より大きく切除する「拡大手術」、術後のQOLを考えて切除範囲をできるだけ少なくする「縮小手術」が行われます。

【出典】「がん治療の前と後 納得できる治療を受けて、前向きに過ごす手引き」
【監修】医学博士 竹中文良 2010年 株式会社法研 発行

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