患者さんの体験談~がんと向き合う~先生や経験者の言葉が一番の励みに

乳がん 48歳 女性
メーカ勤務。45歳の9月に自己触診で左胸にしこりを発見。検査の結果、乳がんと診断される。12月に温存手術で患部を切除したのち放射線治療をおこない、現在までホルモン治療を継続している。手術から放射線治療までの約2ヶ月半を休暇とし、その後仕事に復帰する。今だに転移の不安はあるものの、それも日常の一部ととらえるようになった。

なぜ自己触診してみたのか、今思うと不思議です

乳がんが見つかるきっかけとなったのは、どんなことでしたか?

たまたま見ていたテレビで、「もうすぐピンクリボン月間だから」と、自己触診の方法を紹介していたんですね。「そういえば全然触ってないな」と思って触ってみたら、クリっとした部分があって、「あれ?」と。それまで毎年1回は検査していましたが、その前の年は忙しすぎて、人間ドックをさぼっちゃったんです。

今思うと不思議ですね。普段はそうやってテレビで紹介されていることを、あまりやらないタイプなんですが、そのときはなぜやろうと思ったのか……。ただ、「しこり」っていっても自分で判断するのは難しいんです。本当にしこりなのかわからないけど、ちょっと怖いなあと思って、すぐに乳がん検診を予約しました。

身近に経験者の存在があったことが大きい

そして検査の結果、乳がんと診断された

検査を色々と受けているうちに、だんだんグレーが黒になっていくかんじだったので、医師に告げられたときは「ああ、やっぱり」と思いました。もちろん落ち込みましたが、すぐにやらないといけないことがたくさんあったので、グレーでモヤモヤしていたときよりも行動的でしたね。

まず、会社に乳がん治療を続けている人がいたので、すぐに連絡をとりました。翌日、彼女からいろんな情報を得て、「まずやるべきこと」を細かく説明してもらったので、とにかくそれらをこなしていきました。やはり、経験者の存在は大きかったですね。彼女がいてくれて、すぐに話せたのは、非常に心強かった。あと、職場の女性たちも支えになりました。この病気を理解してくれている彼女たちと話をすることで、吐き出せた部分もありましたね。

セカンドオピニオンで背中を押してもらった

温存手術を選ぶ際に、迷いはありましたか?

一応、セカンドオピニオンをとったのですが、その際にとても丁寧に説明いただきました。私の主治医はとても忙しそうで、なんだか申し訳なくて、いつもあまりじっくり話ができなかったんですが、セカンドオピニオンは時間があらかじめ確保されているので、そういう意味では良いですよね。

そこで、「私も同じ治療をやりますよ。だから問題ないです」って言われて、踏ん切りがつきました。やはり、正しい情報と、先生や経験者の確かな言葉が一番の励みになりますよね。

「なんだ、みんな一緒か」と、気持ちが楽になった

インターネットなどで、他の患者さんの情報を見ることはありますか?

最初はそんな気になれませんでした。他の人の話は見たくも聞きたくもなかったので、避けていましたね。でも、放射線治療が終わると頻繁に病院に行く必要がなくなるので、気持ちが落ち着いてきました。

ちょうどその時期、すい臓がんだったランディ・パウシュ先生の『最後の講義』をたまたま見て、「この人はこういう考え方をするんだ。他の人はどうなんだろう」と、興味を持つようになりました。やっぱり再発に対する不安があって、自分だけこんなにクヨクヨしてるのかなって悩んでいたので、いろんな人の体験談を読んで、「なんだ、みんな一緒か」って、少し楽になりましたね。

だから、今度は自分の経験を誰かに還元したいなあと思って、ツイッターを利用したり、国立がん研究センターの市民パネルに参加したり、できる範囲内で活動しています。病気になる前は、全然そういったものに参加するタイプではなかったんですが(笑)。

「命が有限である」という気付きを得た

病気になったことで、考え方が変わったことはありますか?

「命は有限なんだ」と、かなり意識するようになりました。乳がんが見つかるまでは、特に大きな病気もしたことがなかったので、「自分が死ぬ」ということにまったく現実味がなかったんですね。

でも今は良い意味で、死がとても身近なものになりました。それを恐れてばかりいるのではなく、いずれ来るものとしてしっかり意識し、準備できる……そういう意味では、ある意味ラッキーだったのかなとも思います。もちろん治療が落ち着くまでは、そんなこと絶対に思わなかったけれど、今は安定しているので、冷静に考えられているんでしょうね。

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