患者さんの体験談~がんと向き合う~普段気づかない様々なことを学びました

乳がん 46歳 女性
メーカ勤務。8年前、自己触診で左胸にできものを発見。検査の結果、乳がんと診断される。温存手術で患部を切除したのち、リンパ節転移がみとめられたため、再度リンパ節切除の手術を行う。術後、半年間の化学療法を経て、放射線治療、ホルモン治療を終了。現在は特に治療はなく、半年に1度の定期検査で経過を観察している。

「少し休みなさい」って、時間をもらったような気がする

乳がんが見つかったきっかけは?

8年前、仕事が忙しすぎて、精神的にも肉体的にも参っていた時期があったんですね。そんなときに、たまたま同僚が「マンモグラフィをやってきた」って。彼女は病院好きで、しょっちゅういろんな検査をしていたんです。当時まだ、マンモグラフィってポピュラーじゃなかったし、私も初めて聞く言葉だったので、「へー、どうだった?」、「すっごい痛かった!」なんて話していたんですね。

その晩になんとなく胸を触ってみたら、しこりというよりも「できもの」みたいなものがあって、「あれ?」と。すぐに夫に相談しました。うちは夫婦で医者嫌いなんですが、そのときはなぜかすぐに行動しました。今になって振り返ると、本当に「たまたま」が続いた不思議なきっかけなんですが……ギリギリの精神状態になるまで働いていましたから、「少し休んで、一度真剣に自分の人生を考えなさい」っていう時間をもらったのかなあと思います。

ショックでうろたえたのは、最初の一週間くらい

検査から確定までの経緯を教えてください。

ちょうど夫が医療に関する仕事に携わっていた時期だったので、色々と調べてくれて、すぐに信頼できる先生と出会え、検査してもらうことができました。信頼できる主治医に出会えるかどうかってとても大切ですよね。私はたまたまラッキーだったのかもしれませんが、主治医は自分が納得できるまで時間をかけて探した方が良いと思います。知り合いの乳がん患者さんの中にも、そういう人はたくさんいましたね。

最初の検査は触診とエコーでした。触診で「おそらく乳腺の病気だから、そんなに心配することはないでしょう」って言われたので、けっこう楽天的に考えていて。でも、一応細胞診もしたんですね。一週間後にその結果を聞きに行ったら、「じつは、がんでした」と。

気楽に構えていたので、私ひとりで聞きに行って……心の準備なんてないですよね。「えー、がーん!」みたいなかんじ。とにかくすぐに手術って言われましたから。でも、ショックでうろたえたのは最初の一週間くらいですね。あとはもう、両親が心配しないようにうまく説明しなくちゃとか、病気のことは先生に任せるしかないから、自分がすべきことをきちんとこなしていこうとか、わりとすぐに切り替えましたね。

情報収集はすべて夫任せに、必要なことだけ聞いた

病気について、一番よく話をしたのはどなたでしたか?

夫でしたね。お医者さんが言う以外の情報を、本やインターネットで見すぎるのはあまり良くないと私は思ったので、そこはすべて夫に任せました。「見ておいて。必要なことだけ言ってくれればいいから」って(笑)。だから、入院するまでは、お医者さんと夫の情報のみでした。

セカンドオピニオンも行きました。もちろん主治医を全面的に信頼していましたが、一応自分で納得して治療を受けるために、別の先生に診てもらって、同じ診断だったらもう決めてしまおうと。やはりまったく同じ診断だったので、主治医に全部お任せするって決心がつきましたね。そういう意味でも、セカンドオピニオンはとても大事でした。

同じ病気の患者さんの言葉がなによりの支え

治療の過程で、気持ちの浮き沈みにはどのように対処しましたか?

入院すると、他の乳がん患者さんたちと接する機会が多くなるんですね。自分と病気の進行が同じくらいの患者さんと話せることは、精神的にとても救いになりました。お医者さんでは絶対教えてくれないような、心の保ち方についても情報交換できたので、患者同士でネットワークを作ることの大切さを感じました。

やっぱり治療の過程って、夫でもダメなんですよね。励まされても、「この辛さはわかんないでしょ、どうせ!」なんて言っちゃったり(笑)。だから、一番の精神的支えは患者仲間。あと、乳がんの場合は病棟が女性だけだからなのか、とにかく明るいんです。女性のパワーを感じました。病室から笑いがこぼれているんです。「笑いも免疫力あげるのよ! だから笑わなきゃダメよ!」とか言って、ゲラゲラ笑ってる。入院しているときは、よく笑っていましたね。

「自分だけの命じゃない」ということに初めて気付いた

病気になったことで気付いたことなどはありますか?

実は、治療をやめたいと思った時期があって、夫に言ったことがあったんです。そうしたら夫に、「君は自分が治るためだけに治療するんじゃなくて、家族のために治らなくちゃいけないんだ」って言われて、ハッとしたんですね。「そうか、私はこの人たちのためにも生きなきゃいけないんだ」って、初めて思ったんです。

生死というのは自分だけのものじゃなくて、「生かされている」とか、「この人のために生きなきゃいけない」とか、そういうことなんだって学びました。普段はそんな話、絶対にしないじゃないですか。だから、そうやって話せたことは良いことだったなって思います。本当に、病気からはいろんなことを学びましたね。

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