患者さんの体験談~がんと向き合う~病気をしたからこそ見えてくるものがある

GIST 43歳 女性
接客業。4年前に体調不良のため病院で検査したところ、胃原発のGIST(消化管間質腫瘍)と診断される。最初の手術で胃、膵臓ほか患部を切除したのち、投薬にて治療。1年後に小腸(GISTとは別の腫瘍)、2年後に卵巣(GISTの再発)を切除する。その後、腹膜播種がみとめられたため、現在は投薬にて治療中。

現実をとても受け入れることができず、退院してしまった

GIST(消化管間質腫瘍)であることがわかった経緯を教えてください。

2008年に貧血で身体が動かない状態になってしまって、緊急で病院へ行ったところ、胃と膵臓の間に3~4センチくらいの腫瘍らしきものがあると言われました。良性か悪性かは取ってみないとわからないということで、すぐに手術することを勧められました。でも、それまで病気をしたことがなかったから、その現実をとても受け入れられなくて……「手術はしたくない」と退院してしまったんですね。

それから3ヶ月後の検査で、腫瘍が15センチくらいまで大きくなっていたため、すぐに手術しました。胃を3分の1、膵臓の膵尾のほうを少し、大腸……ほか、腫瘍のあるところをすべて取りました。その後の病理検査で初めてGISTであることがわかり、投薬による治療を開始したんです。

自分の殻に閉じこもり、一日中がんのことについて考えていた

その後、小腸、卵巣と2回の手術をされて。一番辛かった時期はいつでしたか?

卵巣の腫瘍がはっきりしなかったときが辛かったですね。GISTの再発も怖いけれど、別のがんになることもすごく怖かった。その時期はちょっと鬱っぽかったのかもしれません。一日中がんのことについて考えていました。卵巣がんかもしれない、GISTの再発かもしれない、この先どうなる、あとどれくらい生きられる……24時間、毎日その繰り返しで、すごく辛かったです。完全に自分の殻に閉じこもって、一日中布団をかぶって、眠れないからお酒を飲むんですけど、それでも眠れなくて。

でも、手術したらGISTの再発とわかり、少しホッとしたところもあって。「またお薬を飲んでがんばろう」って思った矢先に……腹膜播種がわかって、また考え込むようになりました。

精神的に限界で、何かにすがりたかった

そこで初めてインターネットで情報を収集されたんですね。

そうです。GIST患者さんが集まっているサイトに辿り着いて、近々名古屋で勉強会があると知り、行くことにしました。私は本当に行動力がなくて……自分の病気について、知りたいけれど怖いから、それまで情報を得たいと思えなかったんです。でもそのときは、「とにかく勉強会に行ってみよう」と思いました。

もう自分自身、限界だったのかもしれませんね。どうしていいのかもわからなかったから、何かにすがりたかった。人との触れ合いが欲しかったのかもしれません。勉強会に行って、もっと後ろ向きになるかもしれないっていう不安もありましたが、なにかを変えなきゃいけないって自分で思ったんでしょうね。本当に……私が名古屋までひとりで行くなんて、かなりのことなんですよ(笑)。

同じ病気の患者さんと話したことで、心が解き放たれた

勉強会に行くことで、何かを変えることができましたか?

すべて変わりました。前向きになれましたね。同じ病気の患者さんたちと、色々な情報や体験を交換できて、心が解き放たれた気がします。それまでひとりで抱えていたものが、軽くなったというか……すごく救われました。本当にこの出会いは、私にとって大きいものでした。

みなさんイキイキされていて、とても病人とは思えないんです(笑)。それですごく元気をもらいました。それぞれ状況は違っても、みんな同じ病気で、こうやって明るく生きているんだから、自分もメソメソしてられないなと。それまでは、「来年の今頃は生きていられるのかな?」とか、そんなことばかり思っていたんです。でも今は、みんなに会って、「もっと生きたい、もっとがんばりたい」って思えるようになりましたね。普段はメールでやりとりしていますが、離れていてもつながっていられることが支えになっています。同じ痛みをわかってくれる存在ですから。

リレーフォーライフという、がん患者さんが中心となって、交代で24時間タスキを繋ぎながらみんなで歩くイベントがあるんですが、それに参加したのも良い経験でしたね。身体はとても疲れましたが、心がすごく元気になりました。今でも私は前向きじゃないし、こういったインタビューにうまく答えられるか不安でしたが(笑)、名古屋での出会いでこんなに変われたので、またこれをきっかけに自分が変われたらいいな、変わりたいなと思っているんです。

病気をしたからこそ、見えてくるものがある

病気になったことで気付いたことなどはありますか?

もともとバリバリ働くタイプではなかったんですが、病気になってから、仕事ができるのは本当に幸せなことだと思えるようになりました。仕事すると身体がとても疲れるんですが、絶対にやめたくないです。ずっと事務をやっていましたが、今回は初めて販売の仕事にチャレンジできて、すごく楽しいです。元気でいられるあいだは、ずっと仕事を続けたいですね。

病気になって本当に辛かったけれど、今まで見えなかったこと……人と人とのつながりや、人生観など、いろいろ見えてくるものがあります。だからこそ今、後悔しないように生きたい、いろんなことをしたいって思っています。生きている期間が長かろうと短かろうと、「自分がどう生きていくか」が大事なんですよね。こういうことって、病気をしたからこそ思えて……考える時間があるじゃないですか。それは本当によかったなと、今となっては心の底から思えますね。

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