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通院しながらがんの治療を続けるあなたへ 治療が終わった!でも不安。そんな時は?

退院して自宅で過ごすようになっても、不安は尽きないかもしれません。それは誰しも同じです。がんを経験した先輩がんサバイバーたちからあなたへ、メッセージを送ります。

先輩がん患者のみなさん

ストレッチや運動をする

がんの治療がひと段落して経過観察になると、嬉しい反面、後遺症に悩んだり、再発や転移が気になったり、不安もあるでしょう。不安の程度や種類はその時々で変化していきます。どんなに「前向きに」と言われても、やっぱり後ろ向きになること、落ち込むことはあります。そうした感情も含めて、自分の病気と上手に付き合っていきましょう。

普段通りの生活に戻るために

退院したからといってすぐに元通りの生活というわけにはいきませんが、元の生活に近づく、もしくは新しい自分の日常生活をつくるためには体力づくりも大切です。そこで、「自分なりのリハビリ」をしてはどうでしょうか? 散歩やストレッチ、体幹トレーニング、リンパマッサージ(むくみ予防)、骨盤底筋体操(尿漏れ対策)など、自分の体調や好みに合わせてできることから始めましょう。

生活のリズムを整えていくことも大事です。すぐには元の生活に戻れなくても、目の前のことを一つひとつ淡々とこなしていくことで、いつの間にか「できること」が増えていきます。その積み重ねが「以前のような生活が送れる自分」に近づく自信となり、さらには「新しい日常生活を築いていく自分」を支えてくれるでしょう。

頼れる人、場所をつくっておこう

ひとり暮らしの人は特に、「一人でいるときに体調が悪くなったらどうしよう」と不安になるかもしれません。いざというときに頼れる人、場所を見つけておくことが大事です。あるひとり暮らしの患者さんは、地域の民生委員と、日頃から世間話をするなど、何かあったときにお世話になりやすい関係を築いているそうです。日頃からの人間関係があれば、もし急に体調が悪くなっても、タクシーを手配して病院まで付き添ってもらうなど、お世話になりやすくなります。また、がんの治療が終わっても、病院のがん相談支援センターや患者会、患者サロンを活用することもできます。年数が経てば経つほど周りの人に弱音を吐きにくくなるかもしれませんが、病気と向き合う限り、不安はあるものです。「がんの治療中ではないから」と遠慮せずに、ぜひ活用してください。

先輩サバイバーから後輩サバイバーに伝えたいこと

最後に、先輩のがんサバイバー(がんと向き合いながら、自分らしく今を生きているがん経験者のこと)から、皆さんに向けたメッセージを紹介します。

  • ときは薬…治療中は心配、不安、怒りなどの感情で不安定になりがちですが、その苦しさはずっとは続きません。時間とともに薄らいでいくので安心してください。
  • がんになって、わかったことも…日々普通に生活できることのありがたみを実感でき、「今、この瞬間」が愛おしく思えるようになりました。がんになったからこそ、わかったことです。
  • がんを通じて得られた出会い…日常生活で不自由なこともありますが、世の中にはいろいろな病気や悩みを抱えている人がいることを知ることができ、がんを通じてたくさんの人と知り合うことができました。「なぜ、私が?」と思うかもしれませんが、仲間はたくさんいるものです。
  • 自分の気持ちに正直に!…泣きたい、怒りたい、叫びたいと思うこともあるでしょう。映画館やお風呂、カラオケなどで感情を放出するだけでも、ちょっと気持ちが楽になりますよ。
  • 人生や今後を考える機会に…病気と向き合う時間を持ったことで、これからの人間関係や生き方、謝罪巡業、捨て身のチャレンジなど、病気以外のことも整理することができました。
  • 一つ上の人間関係に…利害関係もしがらみもなく、本当に大事な友人に気づくことができました。家族は、山越え谷越えで、お互いが精神的に自立でき、お互いの状況や立場を思い合えるように成長しました。病気になったから得られた関係です。
  • 人は強い…今では病気だったことをつい忘れてしまうことも多くなりました。人間ってつらかったことも忘れることができて、強いなと思います。今、病気と向き合っている人にも、そんな風に思えるときが来るはずです。

「病気になって良かった」と言うのはきれいごとかもしれません。でも、「病気になっても悪いことばかりではない」というのは、先輩がんサバイバーのみんなに共通しています。つらいとき、不安なときには、先輩がんサバイバーからの言葉を思い返して、あなただけのキャンサーギフト(がん経験からの気づき)を見つけてください。

【監修】福島県立医科大学 腫瘍内科学講座 主任教授 佐治 重衡 先生

更新年月:2022年11月

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