RCC(腎細胞がん)腎がん治療に携わる先生からのメッセージ / タイプの違う分子標的薬が使えるようになった

腎がん治療に携わる先生からのメッセージタイプの違う分子標的薬が使えるようになった

日本では2011年4月現在、4つの分子標的薬が腎がん治療に使われています。2つはチロシンキナーゼ阻害薬と呼ばれる薬で、がんが栄養を得るために血管を作り出すのをブロックします。もう2つの分子標的薬は昨年発売された薬剤で、mTOR(エムトール)阻害薬と呼ばれ、主にがんの増殖を調節する酵素の働きを抑えることで、がんの増殖を抑制します。ただし、分子標的薬は新しい薬だけに、どんな患者さんに、どんなときに使うのが効果的なのか、まだ十分にわかっていません。臨床試験の結果をもとに、少しずつ治療に組み込まれつつあるのが現状です。ですから、使い方はまだ限定されています。たとえば、「サイトカイン療法が効かなくなった患者さんに対して有効」とする試験結果が出た分子標的薬は、サイトカインが効かなくなった患者さんを中心に使われています。

いいことずくめのような分子標的薬にも弱点はあります。分子標的薬はほとんどの場合、使い続けていると効かなくなります。これを「治療抵抗性」といいます。また、従来の抗がん剤とは異なった、特有の副作用が分子標的薬にはあります。チロシンキナーゼ阻害薬では、高血圧、手足の皮膚が腫れたり、痛くなったりする「手足症候群」、疲労、下痢、骨髄抑制(白血球や血小板などの血球成分が減る症状)などがあります。

一方、mTOR阻害薬に特徴的なものとしては、間質性肺炎(難治性の肺炎)、高脂血症、高血糖などが挙げられます。今では副作用対策も進んできていますが、十分な注意が必要です。

進行腎がんの場合でも、がんの切除により完治が期待できる症例では、体の負担が多少大きくても積極的な外科的治療をお勧めします。手術だけでがんを取りきるのが難しくても、薬物療法なども併用して治療を行います。たとえば、そのままがんを切除できないケースでは、術前補助療法として分子標的薬を投与し、手術できる大きさまでがんを縮小させる方法も行われるようになっています。

手術以外にも局所療法として、ラジオ波焼灼療法(ラジオ波によってがんを焼き切る治療法)やマイクロターゼ(マイクロ波によってがんを焼き切る治療法)も使用されています。

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監修:日本医科大学付属病院泌尿器科 准教授
木村 剛 氏

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