RCC(腎細胞がん)腎がん治療に携わる先生からのメッセージ / 治療の組み立て方で、予後が大きく変わる

腎がん治療に携わる先生からのメッセージ治療の組み立て方で、予後が大きく変わる

その一方で、残念ながら、がんを切除できない症例でも、分子標的薬を中心とする薬物療法を駆使することによる延命も可能になってきました。ただし、どの薬をどのタイミングで使うか、治療の組み立て方が患者さんの予後を左右するので、医師の腕の見せ所になります。

たとえば、最初にチロシンキナーゼ阻害薬を使い、それが効かなくなったとき、mTOR阻害薬に替え、さらにそのmTOR阻害薬が効かなくなったときは、最初に使ったのとは別のチロシンキナーゼ阻害薬を試すといった組み立て方もあります。また、分子標的薬の登場でサイトカイン療法の出番は減りましたが、サイトカインの効く患者さんに対してはまずこれを使い、効かなくなったときに分子標的薬に切り替えることもあります。要は、患者さんの状態、腎がんの組織型、転移臓器や薬との相性など、さまざまな条件を考慮し、手持ちの「武器」をできるだけ長く使えるようにし、使えなくなったとき、次の「武器」を用意しておくこと。これが大事なのだと思います。

幸い、腎がんに効くと思われる分子標的薬は続々と発売予定(2011年4月現在)なので、武器はもっと増えます。駅伝でタスキをうまくつなげるように、薬から薬へと乗り継いで1年、また1年と延ばしていき、気がついたら10年、15年が経っていた……という可能性も高くなっています。

実際、分子標的薬を使うようになってから、腎がんと長く共存できる患者さんが増えています。私の患者さんの中にも、人工透析をしていて腎がんになり肺転移をきたしましたが、腎臓の摘出後、分子標的薬による治療を行い、がんが完全に消えた方がいらっしゃいます。骨転移のある80代の男性で、分子標的薬によってがんの進行を抑えることにより、旅行に行くなど人生を楽しんでいる方もいらっしゃいます。

希望を持てば、道は開けるのですから、絶対にあきらめないでいただきたいと思います。

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監修:日本医科大学付属病院泌尿器科 准教授
木村 剛 氏

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