慢性骨髄性白血病(CML)を学ぶ分子標的治療薬の副作用1-7

慢性骨髄性白血病(CML)の患者さんにとって、治療の副作用は時に辛いものですが、適切な対応によって克服できます。ここでは代表的な副作用とその対策例をご紹介します。

吐き気および嘔吐

嘔吐や吐き気が長く続いて、食欲が低下することがあります。脱水症状予防のため、水分を十分に摂りましょう。特に胃に長く留まる脂肪性食品の摂取を控えましょう。症状が強い場合は吐き気止めの薬を用いることがあります。すぐに医師や看護師に相談しましょう。

下痢

辛い物や刺激の強い食べ物、油っこい料理は控えます。下痢が続くときは水分やナトリウムが多く失われるので、脱水症状を防ぐためにスポーツ飲料、経口補水液を摂取するよう心がけましょう。症状が強い場合には下痢止めの薬を用いることがあります。医師や看護師に相談し、適切な処置を受けてください。

皮膚の発疹

皮膚へのダメージを避けるため、直射日光を避けて日焼けを防ぎ、熱い湯に触れないように注意します。保湿も心がけましょう。皮膚への刺激の少ない綿素材の肌着を着用しましょう。症状が強い場合にはかゆみ止めの薬を用いることがあります。医師や看護師に相談しましょう。

むくみ、体重増加

食塩制限、利尿薬、ステロイド外用薬の使用で改善する場合があります。体液貯留(腎臓から尿として排出される塩分や水分が体内にたまった状態)をチェックするため、定期的に体重を測定します。むくみや体重の変化が気になる場合には、医師や看護師に相談しましょう。

筋肉痛・筋肉のけいれん

ビタミン、ミネラルを豊富に含んだ食品を摂り、適度に筋肉を伸ばしマッサージをするとよいでしょう。症状が強い場合には、医師や看護師に相談しましょう。

発熱

免疫力が低下し、細菌などによる感染症を起こしている可能性があります。感染症を予防するために、手洗いやうがいを心がけ、外出するときはマスクをつけましょう。状態によっては抗菌薬による治療が必要になります。発熱した場合には、すぐに医師や看護師に相談してください。

骨髄抑制

骨髄の中には、白血球、血小板、赤血球などを作る造血幹細胞が存在します。造血幹細胞の分裂や増殖が阻害され、骨髄の造血機能が障害されることを骨髄抑制と言います。

肺高血圧症

肺動脈の血圧(肺動脈圧)が上昇した状態で、一般的に安静時の平均肺動脈圧が25mmHg以上と定義されます。肺高血圧症では、体を動かしている時に呼吸が苦しい、疲れやすいといった症状が出ることがあります。症状が出た場合は、すぐに医師や看護師に相談してください。

虚血性心疾患

心臓の表面にある血管(冠動脈)が何らかの原因で狭くなったり、閉じたりすることで、心臓の筋肉(心筋)に十分な血液が届かなくなった状態(虚血状態)です。狭心症や急性心筋梗塞をまとめて虚血性心疾患と呼びます。虚血性心疾患では、激しい胸部の痛み、呼吸困難、冷汗、吐き気、嘔吐といった症状が急にあらわれることがあります。そのような場合は救急車を呼んでください。また、胸部の圧迫感、背中の痛みなどの症状が出ることがあります。これらの症状が出た場合は、すぐに医師や看護師に相談してください。

脳梗塞

脳内の血管が細くなったり、血管が詰まったりすることで、脳に酸素や栄養が行きわたらなくなり、脳の組織や細胞が死んでしまう病気です。脳梗塞では、半身の手足が動かなくなる、ろれつが回らない、言いたいことが言葉にならないなどの症状が出ることがあります。症状が出た場合は、すぐに医師や看護師に相談してください。

末梢動脈閉塞症

手足の動脈が狭くなったり、閉塞したりすることで、血液の循環が悪くなる病気です。末梢動脈閉塞症では、脚の冷感やしびれ、歩行中の筋肉の痛みなどの症状が出ることがあります。症状が出た場合は、医師や看護師に相談してください。

QT間隔延長

心電図検査でみられる所見。QT間隔が延長すると、失神や突然死を引き起こすことがあります。

1. 医療情報科学研究所 編集.薬がみえるvol.3.メディックメディア.2016

2. 西脇嘉一.慢性骨髄性白血病6 チロシンキナーゼ阻害剤:副作用のマネージメント.診断と治療のABC 113:131-141,2016

3. 日本血液学会 編.造血器腫瘍診療ガイドライン2018年版.金原出版.2018

4. 医療情報科学研究所 編集.病気がみえるvol.4 呼吸器 第3版.メディックメディア.2018

5. 医療情報科学研究所 編集.病気がみえるvol.2 循環器 第4版.メディックメディア.2017

6. 医療情報科学研究所 編集.病気がみえるvol.7 脳・神経 第1版.メディックメディア.2013

7. 松尾汎.日本内科学会雑誌 97(2):267-270,2008

【監修】東北大学大学院医学系研究科 血液・免疫病学分野(血液・免疫科)教授 張替秀郎 先生

更新年月:2020年11月