慢性骨髄性白血病(CML)を学ぶ慢性骨髄性白血病(CML)の原因と診断

慢性骨髄性白血病(CML)の原因は何ですか?

慢性骨髄性白血病(CML)患者さんの95%以上でフィラデルフィア(Ph)染色体と呼ばれる異常な染色体が見つかっています。慢性骨髄性白血病(CML)が発症する原因は、このPh染色体上にあるBCL-ABL(ビーシーアールエイブル)遺伝子です。
ヒトの染色体は23対46本ありますが、フィラデルフィア(Ph)染色体は、9番目と22番目の染色体が途中から切れて入れ替わって融合したものです(相互転座)。それぞれの染色体の切り口にあるBCR遺伝子とABL遺伝子が融合し、BCL-ABL遺伝子が新しく形成されます。BCL-ABL遺伝子によってつくられるBcl-Abl蛋白(チロシンキナーゼ)は、白血病細胞を増やす指令を出すよう促すため、体内で白血病細胞が増え続けます1)

染色体とは2)

染色体は、細胞の中にあるDNA(デオキシリボ核酸)とそれに結合した蛋白質が折りたたまれてできた長い糸状の構造体で、遺伝情報を運んでいます2)。ヒトの染色体は1番から22番までそれぞれ2本ずつある常染色体と、2本の性染色体の計46本で構成されています3)

図. ヒトの染色体と遺伝子4)

※ゲノム:遺伝子をはじめとした遺伝情報全体を指す

【出典】

1) 医療情報科学研究所編:病気がみえるvol.5 血液 第2版 メディックメディア:150, 2017

2) Alberts B, et al. 著 中村桂子, 松原謙一 監訳:Essential 細胞生物学 原著第3版:179, 803, 2011

3) 永井正:図解でわかる 白血病・悪性リンパ腫・多発性骨髄腫 法研:111, 2016

4) 国立がん研究センター:がん情報サービス がんゲノム医療 もっと詳しく 5. もっと詳しく:ゲノムとは、遺伝子とは
https://ganjoho.jp/public/dia_tre/treatment/genomic_medicine/genmed02.html#005 2022/07/13参照

【監修】東北大学大学院医学系研究科 血液・免疫病学分野(血液・免疫科)教授 張替秀郎 先生

更新年月:2024年1月

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