慢性骨髄性白血病(CML)を学ぶ病気の進行と状態

慢性骨髄性白血病(CML)の進行と状態

慢性骨髄性白血病(CML)は、進行度によって慢性期、移行期、急性転化期(急性期)の3つの病期に分けられます1)

表:CMLの経過と病態[出典1-3より作表]

※表を左右にフリックしてご確認頂けます。

 慢性期移行期急性転化期
期間約3~5年約3~9ヵ月約3~6ヵ月
症状ほとんどなし、または軽い症状(微熱、倦怠感、肝臓や脾臓の腫れによる腹部膨満感)発熱、骨の痛み、脾臓の腫れの増悪など貧血、出血、高熱など(急性白血病と同様の症状)
骨髄の状態フィラデルフィア染色体をもつ異常な造血幹細胞が増加異常な芽球が
著しく増加
血液の状態異常な血球細胞を
認める
異常な芽球が
大量に出現
分化能あり分化能を失った
細胞が増加
なし

分化:未熟な細胞が成熟した細胞(赤血球、血小板、白血球など)に変化すること
芽球:成熟する前の血球

慢性期では、フィラデルフィア(Ph)染色体をもつ異常な造血幹細胞が増殖していますが、この段階では異常な造血幹細胞に分化能(成熟した血液細胞へ成長する能力)が残っているため、成熟した白血球や赤血球、血小板も増加します。しかし、移行期や急性転化期になると異常な造血幹細胞が分化能を失っていくため、機能をもたない未熟な芽球だけが増加し、正常な血液細胞は減少します。その結果、急性白血病と同様に貧血や出血、倦怠感や発熱といった症状があらわれるようになります2)

【出典】

1) 日本血液学会編:造血器腫瘍診療ガイドライン2023年版.金原出版:97, 2023

2) 医療情報科学研究所編:病気がみえるvol.5 血液 第3版 メディックメディア:173-175, 2023

3) 宮崎仁:もっと知りたい 白血病治療 患者・家族・ケアにかかわる人のために 第2版 医学書院:66, 2019

【監修】 金沢大学医学部血液内科 教授 宮本 敏浩 先生

更新年月:2024年9月

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