がん治療の基礎を学ぼうがんってなに?

これから、長いつきあいとなる、がんとはいったい何なのでしょうか?がんの告知を受け、青天の霹靂へきれきのように感じている人も多いことでしょう。でも、がんは突然、降って湧いたようにできたわけではありません。

人は1つの受精卵が細胞を分裂させながら、人間としての生命体を築いていきます。どんな人でもそれぞれの細胞が分裂したり分化したり増殖したりする遺伝子を持ち、正常細胞の遺伝子は23,000種類。また、2008年時点でがん遺伝子は766種類存在するといわれています。

遺伝子はたんぱく質の組み合わせでできていて、生命の誕生や維持に不可欠なものです。そのため、がん遺伝子が存在しても、すぐにがんを発病するのではなく、この遺伝子に傷がつくと、細胞をがん化させてしまうのです。

私たちの身体の中には、がんの増殖を促進する遺伝子が存在する一方で、それを防ぐがん抑制遺伝子も存在します。がんが増殖するためのアクセルとそれを防ぐブレーキの両方の働きが、私たちの身体には備わっていて、そのバランスが崩れたときに、がんの増殖が進みます。

さらに、正常な細胞の一部ががん化しても、免疫の働きが十分に発揮されれば、がん細胞を死滅させ、本格的ながんに発展するのを防ぐことができます。こうした生体防御のシステムを打ち破って、がんとして発症するまでには10年、20年という長い年月がかかっています。

がんが発症するには、加齢をはじめ、喫煙や過剰な飲酒、ストレス、栄養不足、睡眠不足、環境汚染、ウィルス感染など、さまざまな要因が長年にわたって蓄積することが影響しているといわれます。(あくまでも成人のがんの場合です)

がんは発症すると、どんどん増殖を続け、周囲の正常な組織に侵入し、しまいには血液やリンパ液の流れに乗って転移し、正常な細胞を駆逐していきます。がん細胞は他の正常な組織に必要な栄養を奪うため、がんの進行とともに身体が衰弱していきます。

治療法を組み合わせる集学的治療

現在のがんの治療は、手術、放射線、薬物療法(化学療法)などいくつかの治療法を組み合わせる集学的治療が主流になっています。

その人のがんの特性や体質など個々の状況に応じた個別化医療を行うことによって、従来に比べて生存率も改善されてきました。めざましい医学の進歩によって、がんの発生機序や治療法も明らかになりつつあります。

そのためがんを発症しても、長いつきあいになります。上手につきあいながら寿命を全うすることができる時代になのです。

一方、本人の免疫力が十分に働くようにすることも、がんの治療には不可欠です。

がんの多くは複合的な原因によって発症し、これが原因とは特定できないのが普通ですが、日常生活の好ましくない生活習慣を改善していくことも、がんの治療効果を高め、再発、転移を防ぐためには大切です。

ポジティブな考え方で心と体の健康を保ち、少しでも良い状態で過ごすことが、がんとの長いつきあいには重要なポイントになるのです。

【監修】聖路加国際病院 緩和ケア病棟 ブレストセンター オンコロジーセンター ナースマネージャー 玉橋容子氏

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