がん患者さんの家族ができるサポート

がん患者さんにとって、ご家族のサポートは心強いものです。
このページでは、ご家族のみなさまができるサポートや患者さんとの接し方について紹介いたします。

家族ができるサポート

特別なことではなく、日常にほんの少しをプラスする

家族の誰かが「がん」の診断を受けたとき、当事者である患者さんだけでなく、ご家族としても様々な不安に直面すると思います。「本人に何と声をかければよいのか」「これからの家族の生活はどうなるのか」と、ご家族も戸惑い、困惑して不安になるのももっともです。

ここでは、ご家族に知っておいていただきたいことをいくつかご紹介します。日常生活の中でほんの少しをプラスすることで取り入れることが可能な事柄です。もしご自身に当てはまるようなことがあれば、実践してみて下さい。

患者さんの話をよく聞き、気持ちに寄り添う※1

診断直後の患者さんは、ショックや不安感、疲労感や不眠等のストレス反応が生じることがあります。このストレス反応が生じることは正常な反応です。多くの方は2週間ほど経過すると、日常生活に支障のない範囲まで落ち着くといわれていますので、少しの間様子を見守ることが大切です。

また、その後の治療の経過や病状の変化にともない、患者の気持ちのつらさにも変化が生じるかもしれません。そのような時には、ご家族にできることとして、「患者さんのそばにいること」「情報を集めること」「ご家族自身もストレス対策をすること」「サポーターを増やすこと」をお勧めします。

尚、実際に「患者さんのそばにいる」ときに心がけたいことがあります。患者さんがその時の気持ちや希望を言葉にしたとき、ご家族は患者さんのことを思うあまり、自分なりのやり方で解決策を提案したり、良し悪しの判断をしてしまいがちですが、それがご家族のやり方の押し付けになっていないか、時折立ち止まるようにしましょう。そばにいることは、「アドバイスではなく、共感を持って聞くこと」と心がけるとよいでしょう。そして患者さんから一人で過ごしたい様子の時には「いつでも力になるから、声をかけてね」と見守ることも大切です。

正しいがんの情報を知り、自分にできることを考える

患者さんとともに治療に立ち向かう家族ができることの代表的なものに、「正しい情報を集める」ことがあげられます。

がん治療を開始するにあたり、これから受ける治療はどのようなものなのか、さらに予定している治療はどのような副作用が出る可能性があり、それが仕事や生活に与える影響はどのようなものがあるのかなど、皆さんに知っていただきたい事は多岐にわたります。ただ、診察の場で医療用語の解説から始めると、こういった具体的な話を十分にする時間が限られてしまうのも事実です。

主治医からの情報以外にも、がん関連の本や雑誌、インターネットなどから、正しい情報を入手して参考にしてみてください。(正しい情報の入手などについては「納得する治療を選択するために大事なこと!‐ヘルスリテラシーって何だろう‐」で解説していますのでご覧ください。)

例えば、情報集めの方法として、患者向けガイドラインの活用があります。ガイドラインは、科学的な根拠に基づいて、臓器別や症状別に推奨される治療方法について掲載されたものです。もともとは医療者向けのものでしたが、現在では医療者版を平易な言葉に置き換えて解説した、患者向けのものも、複数のがん種で発刊され始めています。内容としては、「診断や検査方法」「手術例数の多い病院で治療を受けるべきか」「化学療法の投与期間」「経済的負担に役立つ制度」など、診断から治療、治療に関連して生じる副作用などについて推奨される検査や治療内容などの解説してくださっています。

正しいがんの情報を知り、自分にできることを考える。それは、主治医と共通言語をもって治療に立ち向かうことへもつながります。よろしければ実践してみて下さい。

気をつけたい言葉、かけてあげたい言葉※2,3

気をつけたいこと、意識しておきたいこと

患者さんは、治療を受ける中で身体の変化や社会の中での役割の変化、気持ちの変化など、多くの事柄に直面します。それは一過性のものではなく、治療の過程で変化しながら生じるもので、患者さんはその都度向き合うことになります。

そのつらさすべてをご家族が理解することは難しいかもしれませんが、理解しようとする気持ちは大切です。患者さんがつらい状況の時、時にご家族に強い口調でお話したり、話の内容が二転三転したりすることがあるかもしれません。

そんなときは、「前と違うことを言っているじゃない」「治療中なのだからやめておいたほうがいい」と、話の良し悪しを判断するのではなく、「そう思ったんだね」「つらいね」など、患者さんの気持ちに寄り添う時間を大切にしましょう。時に、うまく話を聞けなかった、と感じることもあるかもしれませんが、ご家族がそばにいてくれることそのものが支えとなるはずです。

寄り添い、患者さんの希望をよく聞きましょう

ご家族は患者さんのことを思うあまり、「うまくサポートできているか」「不十分ではないか」と心配してしまいがちですが、患者さんは、ご家族に問題の解決を求めているのではなく、「聞き手」を必要としているのかもしれません。

同じような話を繰り返し話したり、聞いてきたりするようなときは、「聞き手」に徹してみてください。きちんと患者さんに身体を向き合わせ、うなずきながら話を聞くこと、患者さんが途中で考え込んでしまった時は、会話をせかしたり促したりせず、一緒に沈黙の時間を持つことも大切な寄り添いです。

家族といえども、お互いの気持ちをすべて理解することは難しいものです。だからこそ、「聞き手」に徹することが「あなたを大切に思っている」というメッセージになるはずです。また、話を終える際には、「何かあったら言ってね」と一言添える良いでしょう。こうした寄り添いのひと時は、ご家族だからこそできる支援だと思います。

患者さんと一緒に、少し先のことをイメージしてみる

がん治療中の患者さんとの会話は、病気のこと、病院のこと、家族の役割分担のことなど、今目の前にある問題が大半を占めてしまいがちです。時には、「患者」ではなく「ひとりの人間」「家族」として、少し先の将来についてイメージすることも大切です。

「今の治療がひと段落したら、ちょっと遠くまでハイキングに行きたいね」「来月は手術からちょうど3年経つから、子どもたちも集めて食事会を開こう」など、少し先の未来に、できるだけ現実的なごほうびを考えることは、良い気分転換になります。特に大切なのは、一緒にその時を迎える、というイメージを患者さんに持ってもらうことです。具体的な生きる目標は、生きる希望となるはずです。

家族は「第二の患者」※2,3

看病の過程で起こる、家族の心の問題

がんの診断を受けたとき、治療中、治療効果が得られたりしたとき、再発転移がわかったとき、病状が進行して根治の見込みがないと告げられたとき、残されている時間が限られていると知ったときーーーその時々で、患者さんと同様に家族の心は揺れ動きます。時に不安・抑うつなどとの精神的ストレスや肉体的変化が認められる場合もあります。

これらのことから、家族は「第二の患者」と言われています。家族は「患者さんのサポーター」としての役割を期待されると同時に、「第二の患者」としての葛藤にも向き合うことを余儀なくされるといっても過言ではないかもしれません。

ここでは、多くのご家族が直面する心理的ストレスや、生活の質(QOL)を高めるためのヒントをご紹介します。

「がん」と告げられたときの衝撃

家族の誰かが「がん」と告げられたとき、あなたはどう思うでしょうか。「そんなはずはない!」、「なぜ今まで誰も教えてくれなかったんだ!」、「なぜ私の家族がつらい目に遭わないといけないんだ!」──おそらく、そのどれもが当てはまるのではないでしょうか。

自分の大切な家族が「がん」だと知ったとき、心には強い葛藤があらわれます。そして時間が経過し、最初のショックがおさまると、次にやってくるのは現実的な問題です。勤め先にはどのように伝えるか、治療費はどこから捻出すれば良いのか、どうやってサポート体制を作っていくのか……それらに対処しているうちに、自分の内に起こっている精神的負担は後回しとなり、気付けば大きなストレスとなって家族の心を苦しめることになるのです。

生活スタイルの変化によるストレス

がんの治療が進んでいくと、家族の生活スタイルは多少なりとも変化します。たとえば、これまで家事を一手に引き受けていたお母さんが、治療のために家を空けることが多くなると、家族が代わって家事をこなさなければなりません。

このように、これまで患者さんが担ってきた役割を、家族で手分けして引き受けなければならないという負担は、じつは家族にとって大きな問題となることが多いのです。この役割分担がうまくいかないと、家庭内に不満や怒りがたまり、常に緊張状態が続くことになってしまいます。

不確定な将来に対する不安や恐怖、無力感

患者さんはもちろんのこと、家族を苦しめる大きな要因となるのが、「がんが再発・転移しないか」、「本当にこのまま治療を続けて治るのか」などの、不確定な将来への不安や恐怖です。

検査の結果が良かったり、治療の効果を得られたりしたときは、これらの感情から解放されて、一時的に幸せな気持ちで満たされますが、またしばらくすると再燃する感情であるため、慢性的なストレスとなって家族の心に影響を及ぼします。

また、家族であるからこそ、「自分は何もしてあげられない」と強い無力感を抱くものです。治療については医師にゆだねるしか方法がなく、患者さんに替わって痛みを引き受けることもできない家族は、ことあるごとに無力感と自責の念にさいなまれます。結果が悪いと、誰かのせいにして当たったりしてしまいます。

自分の生活も大事にし、リラックスする

患者さんをサポートするため、家族が寝る間も惜しんで看病に専念していると、やがて必ず限界がくるでしょう。また、「家族ががんになって苦しんでいるのに、私だけ楽しむことなんてできない」と、これまで楽しんでいた趣味や娯楽をいっさい断つ人も少なくありません。

しかし、ときには患者さんから離れて、リラックスする時間を作ることも大切です。ずっと気を張り詰めて、ストレスが溜まっている状態で患者さんと接するのは、双方にとって良くないこと。「少し気持ちが窮屈になってきているな……」と感じたら、思いきって「やりたいことをやる時間」を作るようにしましょう。ひとりで抱え込まず、患者さんが行なっていた家庭での役割についても、家事ならヘルパーさんなど周りの誰かに助けを求めたり、同じ思いの患者家族の方々と話したりするのもいいでしょう。

ご家族もサポーターを増やしてください

ここまでご紹介してきたような状況が生じたときは、家族で無理に抱え込まず、医師・看護師や薬剤師・医療ソーシャルワーカーなど、病院で話しやすい相手に相談してみて下さい。医療従事者は、患者さん・ご家族からお話を伺いながら、より適した情報や専門職に橋渡しするお手伝いをしています。

【出典・参考文献】

※1 【国立がん研究センターがん情報サービス】心のケア-がんと心(2026/3/23参照)

※2 【国立がん研究センターがん情報サービス】 ご家族、まわりの方へ-家族ががんになったとき (2026/3/23参照)

※3「家族がガンになったときすぐに知りたいQ&A」 矢沢サイエンスオフィス編 2006年 学習研究社(現:Gakken)

【監修】国立研究開発法人 国立がん研究センター東病院 サポーティブケアセンター/がん相談支援センター
副センター長 坂本はと恵氏

更新年月:2026年8月

ONC46O006B

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