高額療養費の計算例治療費を支援する制度

70歳をさかいに高額療養費の自己負担限度額が異なります。
そのため高額療養費の払い戻し額の計算方法も年齢によって異なりますので、以下でそれぞれの計算方法をご説明します。

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高額療養費の計算例

1世帯の高額療養費対象者が70歳未満のみの場合の計算例(同じ公的医療保険に加入している場合)

医療機関等に支払った同一月の自己負担額(保険外診療の費用や入院中の食事代等を除く)を、受診者、医療機関、通院・入院、医科・歯科ごとに分け、自己負担額が21,000円以上のもののみ合算し、高額療養費を計算します。

同一の医療機関等における自己負担(院外処方代を含みます。)では上限額を超えないときでも、同じ月の複数の医療機関等における自己負担(70歳未満の場合は21,000円以上であることが必要です。)を合算することができます。この合算額が負担の上限額を超えれば、高額療養費の支給対象となります。

※表を左右にフリックしてご確認頂けます。

夫 (52歳)

所得区分

標準報酬月額28万~50万円

医療費

3割負担

A病院(外来)

自己負担額21,000円(医療費総額70,000円)

B病院(外来)

自己負担額9,000円(医療費総額30,000円)

B病院(入院)

自己負担額450,000円(医療費総額1,500,000円)

妻(43歳)

被扶養者

 

医療費

3割負担

A病院(外来)

自己負担額30,000円(医療費総額100,000円)

所得区分についてはこちら

計算手順ボックスの色の見方

  • 個人や世帯ごとに異なる金額
  • 計算から導き出された払い戻し額
  • 年齢と所得区分毎に定められた金額もしくは計算式

● 計算手順1

21,000円以上の自己負担額を世帯単位で合算する

同じ夫のB病院の外来分は、自己負担額が21,000円未満なので、計算には含まれません。

● 計算手順2

世帯全体の医療費総額から自己負担限度額を計算する

1.世帯全体の医療費総額を計算する

2.世帯全体の自己負担限度額を計算する

※自己負担限度額は所得区分により異なります。
詳しくはこちら

● 計算手順3

世帯全体の払い戻し額を計算する

1世帯の高額療養費対象者が70~74歳のみの場合の計算例

70歳以上の方は、 医療費の自己負担額を金額に関係なく、1ヵ月に支払った全ての自己負担額を世帯単位で合算し、高額療養費を計算します。

外来と入院がある場合、個人ごとに外来分を計算し、なお残る自己負担額と入院分を合計して算出します。同一の医療機関等における自己負担(院外処方代を含みます。)では上限額を超えないときでも、同じ月の複数の医療機関等における自己負担を合算することができます。この合算額が負担の上限額を超えれば、高額療養費の支給対象となります。

※表を左右にフリックしてご確認頂けます。

Cさん(74歳)

所得区分

一般(年収156万~370万円)

医療費

2割負担

外来分の自己負担額

100,000円(医療費総額500,000円)

Dさん(70歳)

所得区分

一般(年収156万~370万円)

医療費

2割負担

外来分の自己負担額

60,000円(医療費総額300,000円)

入院分の自己負担額

100,000円(医療費総額500,000円)

計算手順ボックスの色の見方

  • 個人や世帯ごとに異なる金額
  • 計算から導き出された払い戻し額
  • 年齢と所得区分毎に定められた金額もしくは計算式

● 計算手順1

外来分の自己負担額を個人ごとに合算し、外来(個人ごと)の1ヵ月の自己負担限度額から外来の払い戻し額を計算する

・Cさんの外来の払い戻し額を計算する

・Dさんの外来の払い戻し額を計算する

※自己負担限度額は所得区分により異なります。
詳しくはこちら

● 計算手順2

手順1の外来(個人)の払い戻し額を差し引いた、残る自己負担額と入院分の自己負担額を世帯単位で合算し、「入院・外来(世帯ごと)の自己負担限度額」から払い戻し額を計算する。

・外来(外来の払い戻し額を差し引いた残額)と入院の自己負担額を世帯単位で合算する

・外来と入院の世帯単位の払い戻し額を計算する

※自己負担限度額は所得区分により異なります。
詳しくはこちら

● 計算手順3

手順1と2の払い戻し額を合算し、世帯全体の払い戻し額を計算する

1世帯の高額療養費対象者に70歳未満と70~74歳がいる場合の計算例

次の順序により計算します。

● 計算手順1

70~74歳の方の自己負担額のみで、払い戻し額を計算する。
※限度額や計算方法は、【70~74歳の方の自己負担限度額】と同じ。

● 計算手順2

手順1の計算後、70~74歳の方がなお負担している残額と、69歳以下の方の自己負担額(21,000円以上のみ)を合算し、その額から払い戻し額を計算する。
※限度額や計算方法は、【70~74歳の方の自己負担限度額】と同じ。

● 計算手順3

手順1と手順2の払い戻し額を合計する。

【監修】国立研究開発法人 国立がん研究センター東病院 サポーティブケアセンター/がん相談支援センター
副センター長 坂本はと恵氏

更新年月:2024年7月

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