気をつけたい言葉、かけてあげたい言葉

気をつけたいこと、意識しておきたいこと

患者さんは、治療を受ける中で身体の変化や社会の中での役割の変化、気持ちの変化など、多くの事柄に直面します。それは一過性のものではなく、治療の過程で変化しながら生じるもので、患者さんはその都度向き合うことになります。

そのつらさすべてをご家族が理解することは難しいかもしれませんが、理解しようとする気持ちは大切です。患者さんがつらい状況の時、時にご家族に強い口調でお話したり、話の内容が二転三転したりすることがあるかもしれません。

そんなときは、「前と違うことを言っているじゃない」「治療中なのだからやめておいたほうがいい」と、話の良し悪しを判断するのではなく、「そう思ったんだね」「つらいね」など、患者さんの気持ちに寄り添う時間を大切にしましょう。時に、うまく話を聞けなかった、と感じることもあるかもしれませんが、ご家族がそばにいてくれることそのものが支えとなるはずです。

寄り添い、患者さんの希望をよく聞きましょう

ご家族は患者さんのことを思うあまり、「うまくサポートできているか」「不十分ではないか」と心配してしまいがちですが、患者さんは、ご家族に問題の解決を求めているのではなく、「聞き手」を必要としているのかもしれません。

同じような話を繰り返し話したり、聞いてくるようなときは、「聞き手」に徹してみてください。きちんと患者さんに身体を向き合わせ、うなずきながら話を聞くこと、患者さんが途中で考え込んでしまった時は、会話をせかしたり促したりせず、一緒に沈黙の時間を持つことも大切な寄り添いです。

家族といえども、お互いの気持ちをすべて理解することは難しいものです。だからこそ、「聞き手」に徹することが「あなたを大切に思っている」というメッセージになるはずです。また、話を終える際には、「何かあったら言ってね」と一言添える良いでしょう。こうした寄り添いのひと時は、ご家族だからこそできる支援だと思います。

患者さんと一緒に、少し先のことをイメージしてみる

がん治療中の患者さんとの会話は、病気のこと、病院のこと、家族の役割分担のことなど、今目の前にある問題が大半を占めてしまいがちです。時には、「患者」ではなく「ひとりの人間」「家族」として、少し先の将来についてイメージすることも大切です。

「今の治療がひと段落したら、ちょっと遠くまでハイキングに行きたいね」「来月は手術からちょうど3年経つから、子どもたちも集めて食事会を開こう」など、少し先の未来に、できるだけ現実的なごほうびを考えることは、良い気分転換になります。特に大切なのは、一緒にその時を迎える、というイメージを患者さんに持ってもらうことです。具体的な生きる目標は、生きる希望となるはずです。

【参考文献】「家族がガンになったときすぐに知りたいQ&A」 矢沢サイエンスオフィス編 2006年
学習研究社 季羽倭文子著 2010年 池田書店
【監修】国立研究開発法人 国立がん研究センター東病院 サポーティブケアセンター/がん相談支援センター
副センター長 坂本はと恵氏

更新年月:2024年10月

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