RCC(腎細胞がん)についてRCC(腎細胞がん)の治療法

1手術

転移のないRCCの場合、治療の第一選択は手術で、治癒も期待できます。なお、腎臓は左右に2つあるので、治療のために一方の腎臓を摘出しても、手術後に残る反対側の腎臓が正常であれば腎不全になることはなく、生活の制限も受けません。

小さなRCCであれば、腫瘍がある部分のみを切除する腎部分切除術をできる限り選択します。

転移のある場合でも、原発の腎臓の摘出や、転移巣の摘出手術が行われることもあります。肺の転移巣の手術では、転移巣を完全に切除できた場合は、そうでなかった場合と比較して5年生存率が高いことが報告されています。また、脳転移に対するガンマナイフや定位放射線治療(放射線を多方向から集中させる方法)が有効であることや、骨転移に対する放射線治療で痛みの軽減やQOL(Quality Of Life:生活の質)が改善することも報告されています。

※【出典】日本泌尿器科学会編: 腎癌診療ガイドライン 2017年版 メディカルレビュー社: 61-62, 2017

2サイトカイン療法

RCC の治療薬として分子標的薬が使用可能になる以前は、進行 RCC に対して、インターフェロン(IFN)-αやインターロイキン(IL)-2というお薬によるサイトカイン療法(免疫療法の一種)が一般的に行われてきました。現在は、複数の分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬がRCC治療薬として有効であることがわかっていますが、転移や患者さんの状態に応じてサイトカイン療法を行うことがあります。

サイトカイン療法は、細胞が作る免疫や炎症に関係するたんぱく(インターフェロンやインターロイキン)を投与することで、免疫細胞を活性化し、がん細胞を殺傷する能力を高めようとするお薬です。

サイトカイン療法による奏効率(がんが消失、もしくはある程度以上縮小した患者さんの割合)は5~27%と報告されています

副作用としては、発熱、風邪のような症状、関節痛、全身倦怠感などが知られています。

※【出典】日本泌尿器科学会編: 腎癌診療ガイドライン 2017年版 メディカルレビュー社: 96, 2017

3分子標的薬による治療

2008 年より、RCCの治療において分子標的薬が使用できるようになりました。

化学療法で用いる従来の抗がん剤は、早く増殖するがん細胞の仕組みに作用するお薬です。そのため、正常な細胞も影響を受けるため、吐き気、脱毛、下痢、血液の異常(白血球や好中球、血小板の低下)などの副作用があります。

分子標的薬は、抗がん剤による化学療法に比べ、がん細胞の増殖に関わるたんぱくなどに作用するため、従来の抗がん剤とは違った副作用があらわれる可能性があります。具体的な作用はお薬によって異なりますが、がん細胞の増殖を抑えたり、がんへ栄養を供給する血管が新たに作られるのを遮断したりする働きがあります。

4免疫チェックポイント阻害薬による治療

免疫チェックポイント阻害薬は新しいタイプの免疫療法で、がん細胞が免疫細胞の表面の免疫チェックポイント分子に結合して 免疫を抑制する仕組みに注目し、それを防ぐことで免疫細胞の活性化を持続させる作用を持っています。2016年からRCCの治療薬として使用できるようになりました。実際の治療は、免疫チェックポイント阻害薬単独、もしくは2種類の免疫チェックポイント阻害薬か免疫チェックポイント阻害薬と分子標的薬の併用で治療します。

免疫チェックポイント阻害薬の特徴として、一度効果がみられると長期間持続する可能性が高いことがあげられますが、治療開始後に一時的に進行した後に効果があらわれるという現象もみられています

また、免疫が強くなることによって自己免疫疾患のような副作用が起こることもあり、特別な注意が必要とされています。

※【出典】日本泌尿器科学会編: 腎癌診療ガイドライン 2017年版 メディカルレビュー社: 74-75, 2017

監修:慶應義塾大学病院 泌尿器科 教授
大家 基嗣 先生

更新年月:2020年11月