大腸がんの検査治療法を決めるために必要な検査

大腸内視鏡検査

内視鏡を肛門から挿入して、直腸から盲腸までの全大腸を内側から観察します。

がんの疑いがある病変から細胞を採取して良性か悪性かを鑑別したり、内視鏡で根治可能な早期がんと手術が必要な病変との判別も行うことができます。

手術の際に切除する範囲を内視鏡検査であらかじめ決めることもあります。

腫瘍マーカー(血液検査)

がんが存在すると、血液中の腫瘍マーカーが異常値を示します。一般に、大腸がんではCEAとCA19-9というマーカーが用いられています。しかし、がんの早期段階で異常値を示すことは少なく、一般的に進行したがんで異常値になります。また、進行したがんであっても異常を示さない人も一定の割合で存在し、また正常な人でも少し高めの異常値を示すことがあるので注意が必要です。

超音波(エコー)検査

大腸がんと周囲の臓器との位置関係、がんの転移の有無を調べます。

CT、MRI検査

CTはX線を、MRIは磁気を使って、体の内部を描き出し、大腸がんと周囲の臓器との位置関係や、がんの転移の有無を調べます。

CTは造影剤を使用したほうが臓器の位置関係等より詳細にわかるので、造影CTが行われています。CT検査で被ばくするX線の線量は、撮影部位(頭部・胸部・腹部・全身など)や撮影手法により異なりますが、1回あたり5~30mSv程度です。

胸部X線撮影のように放射線の線量が少ない検査(0.06mSv)に比べると、被ばく量は多くなりますが、がんのリスクという観点からみると、少量の放射線と考えられます。CT検査ががんのリスクをどの程度増加させるかについては、まだ科学的にはっきりとは明らかにされていませんが、CT検査の放射線被ばくによってがんのリスクが増加すると仮定するとしても、検査を受け、治療効果を確認することのほうが患者さんにとってメリットがあります。

MRIは、直腸がんの周囲への広がりを詳細に調べるのに適しています。

PET検査

放射性のフッ素を含む薬剤を注射し、その取り込みの分布を評価することで、全身のがん細胞を検索するのがPET検査です。超音波検査、CT検査、MRI検査で診断が難しい場合や、腫瘍マーカーなどの異常から転移や再発が疑われる場合などでは、PET検査を行うこともあります。

ただし、がんが小さく、活動が活発ではない病変は見つけられない可能性もあり、PET単独ではなく、ほかの検査も行われることがあります。また、CTを同時に行い、がんの位置を正確に診断するPET/CT検査が有用なこともあります。PET検査は正常な腸管への取り込みや他の病変への異常な取り込みがみられる場合もあり、大腸がんと区別するのに注意が必要です。

遺伝子検査

がん細胞の中のRASKRAS/NRAS)やBRAFV600Eという遺伝子に変異(異常)がある場合、薬の種類によっては効果がほとんどないことが分かっています。また、遺伝子の変異の蓄積につながりやすいMSI-Highとよばれる状態も遺伝子検査で調べることができます。MSI-Highである場合には、免疫チェックポイント阻害薬が治療の選択肢に加わる場合があります。

このように、薬物療法を行う場合は、事前にがん組織を採取してこれらの遺伝子変異の有無や変異の起こりやすさを調べることで、治療効果を予測します。手術を以前受けられている方では、手術で取ったがん組織でも調べることができます。

【監修】国立がん研究センター東病院 消化管内科 吉野孝之 先生
小谷大輔 先生