がん患者さんのお悩み相談室 ~がんと家族~
3つの「C」を意識して、子どもにがんを正しく伝える

Q.がんと診断されたら、子どもにはどう伝えたらいいですか?

子どもも家族の一員、年齢を問わずがんを正しく伝えましょう

子育て中にがんと診断を受けた時

子どもさんのいる方ががんと診断を受けた時、真っ先に頭に浮かぶのは、「子どもとのこれからはどうなってしまうのだろうか?」「この先、子どもにはどのように接したらいいのだろうか?」「病気のことは伝えない方がいいのではないか?」といったことではないでしょうか。

実は、これまで親のがんのことを子どもにどう伝えるかについては、あまり多く論じられてきませんでした。しかし今は、1年間で20歳~64歳の現役世代のうちの約25万人(※1)が新たにがんの診断を受ける時代です。こうした背景もあり、最近では国内外でさまざまな調査が行われるようになりました。調査からは、がん患者さんの14歳以下の子どもさんの約30%(※2)が心的外傷ストレスを経験していることや、集団の中で孤立しやすい傾向にあることが明らかになっています。

子どもさんに親のがんのことをどう伝えるべきかを考える時、「親ががんだと分かったらショックでふさぎ込んでしまうのではないか」「子どもには心配をかけたくない」という気持ちになるかもしれません。しかし、子どもさんは親御さんの様子から、いつもと違う何かが起きていることに気付くものです。子どもさんも大切な家族の一員として状況を伝えてみてください。それが子どもさんの安心感につながるはずです。

※1【出典】国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」
※2【出典】厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
平成25年度総括研究報告書「がん診療におけるチャイルドサポート」
研究代表者 小澤 美和(聖路加国際病院 小児科)

がんを伝える時に意識したい3つのC

子どもに親のがんのことを伝える方法については、国内外でさまざまな研究が行われ、手法が示されています。ここでは一つの例として、アメリカのMDアンダーソンがんセンターで作成された、がん患者の子どもを支援するプログラム「KNIT(ニット、Kids Need Information Too)」をご紹介します。

親のがんを子どもに伝える時の3Cの原則

Cancer(がん)
Catchy(伝染)
Caused(原因)

Cancer(がん)・Catchy(伝染)・Caused(原因)

1.Cancer(がん)=がんという病気であることを隠さず伝える

最初「C」であるCancerは、文字通り、親ががんであることを隠さず伝えること。小学生でもインターネットから情報を得られる時代です。言葉を濁したりごまかしたりして伝えると、あやふやな知識で不確かな情報を調べるなどして、かえって不安を増強するといわれています。親のがんと治療について正しく伝えること、親自身が子どもにとっての「正しい情報源」となることが大切です。

2.Catchy(伝染)=がんは、うつる病気ではないことを伝える

2つ目の「C」はCatchy。がんは、うつる病気ではありません。大人は理解していても、子どもはそうではないのです。「病気」=「ばい菌」=「伝染する(うつる)」=「怖い」という連想が働き、怯えてしまいます。がんはそういう病気ではなく、うつらないことをしっかり伝えましょう。すると、学校など子どもたちのコミュニティの中で、がんの正しい話ができる可能性も生まれます。

3.Caused(原因):子どものせいではないことを伝える

3つ目の「C」はCaused、つまり「原因」はあなた(子ども)にあるのではないことを伝えます。「ママが病気になったのは、僕がママのいうことを聞かなかったせいだ・・・」と、子どもは口に出さずに自分を責めていることがあります。がんの治療中の患者さんには、体調の波があります。特に治療直後などは、身体に触れられることがつらいこともあります。その時の子どもへの対応いかんで、子どもは親に嫌われている、親が病気になったのは自分のせいだ、と思いこんでしまうかもしれません。もし、事前にがんのことをきちんと説明し、治療中にはこういう時もある、と伝えていれば、子どもの受け取り方も変わります。

【出典】ホープツリー

まとめ:子どもも大切なサポーター

ご自身のがんのことを伝えた後は、年齢にかかわらず子どもさんにお願いしたいことを言葉で伝えるようにしましょう。ご自身にとって大切な存在であるお子さん、お子さんにとってもあなたは大切な存在です。がんという事実を知った後は、「何かできることはないか」「どうやって声をかけたらいいのだろか」と、子どもなりに考えることでしょう。だからこそ、「今日は抗がん剤治療を受けた日だから、ママは横になっていたいの」「洗濯物を取り込んでほしいな」「重いものを運ぶのを手伝ってくれる?」などと、具体的なことを伝えてみてください。自分にできることを知り、親の役に立てることは、子どもにとっても大きな気持ちの支えになるはずです。

【監修】国立研究開発法人 国立がん研究センター東病院 サポーティブケアセンター/がん相談支援センター 坂本はと恵氏