尿路上皮がんを学ぶ(膀胱がん、腎盂がん、尿管がんなど)尿路上皮がんの基礎知識 尿路上皮がんとは 尿路上皮がんは、その発生部位によって、膀胱がん、腎盂がん、尿管がんなどに分けられます。尿路上皮がんの約90%は膀胱がん、約10%は腎盂・尿管がんで、圧倒的に多いのは膀胱がんです※1。 腎臓の中にある腎盂(じんう)から尿管、膀胱、尿道の一部へつながる尿の通り道の内側を尿路上皮といいます。尿路上皮がんは、その尿路上皮という粘膜の細胞から発生するがんです。 尿路上皮がんは、女性より男性に多く、60歳以降に増加し、高齢者に多い傾向があります※2。 がんが膀胱と腎盂・尿管に同時に見つかったり、尿路上皮内で再発したりしやすく、膀胱、腎盂、尿管にがんが見つかったときには尿路上皮の他の部分にもがんが発生していないかを調べます。 膀胱・腎盂・尿管の役割 腎臓で作られた尿は、腎盂(じんう)という場所に集められたあと、尿管、膀胱、尿道を経てからだの外に出ます。尿管は腎盂と膀胱をつなぐ長さ20数センチの管です。膀胱は尿管から運ばれてきた尿を一時的にためておく袋状の臓器で、骨盤内にあります。膀胱には尿をためる機能と、ある程度の尿がたまると尿意を感じて排出する機能の2つの働きがあります。 症状 尿路上皮がんで最も多い症状は、尿が赤色や茶色になる血尿です※3。見た目では尿に血が混じっていないようでも、健康診断や人間ドックなどでみつかる場合があります。 また、尿路上皮がんが進行すると、腰や背中、わき腹に強い痛みが出ること、尿を出すときに痛むこと、頻繁に尿意を感じることがあります※3,4。 ※1【出典】Bajorin DF. Goldman-Cecil Medicine.25th ed. Elsevier Saunders: 1348-1351, 2016 ※2【出典】国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(全国がん登録)(2016~2018年) https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/data/dl/index.html#anchor2 ※3【出典】国立がん研究センターがん情報サービス「膀胱がん」膀胱がんについて(2022年7月時点) https://ganjoho.jp/public/cancer/bladder/about.html ※4【出典】国立がん研究センターがん情報サービス「腎盂・尿管がん」基礎知識(2022年7月時点) https://ganjoho.jp/public/cancer/renal_pelvis/pdf/renal_pelvis.pdf 【監修】JA 山口厚生連総合病院長 山口大学大学院医学系研究科 泌尿器科学講座特命教授 松山豪泰 先生 更新年月:2022年11月 ONC46M001A