尿路上皮がんを学ぶ(膀胱がん、腎盂がん、尿管がんなど)尿路上皮がんの病期(ステージ)
病期(ステージ)とは
病期(ステージ)とは、がんの進行度を表し、治療の方針を決めるための指標です。がんの広がり、リンパ節転移の有無、他の臓器への転移の有無によって決められます。膀胱がんと腎盂・尿管がんは、病期の分け方が少し異なります。
膀胱がんの種類と病期(ステージ)分類
膀胱がんの病期は、TURBT(経尿道的膀胱腫瘍切除術)でとってきた細胞の病理診断と画像検査の結果で診断されます※1。
膀胱がんの種類※2
膀胱がんは粘膜の下の筋層にがんが達しているかどうか、リンパ節や他の臓器へ転移があるかどうかが治療方針を決めるひとつの指標になっています。筋層に達していないがんは筋層非浸潤性がん、筋層に達したがんは筋層浸潤性がんと呼ばれます。がんが、リンパ節や他の臓器へ広がった状態が転移性がんです。
筋層非浸潤性がん病期0期・Ⅰ期 | がんが粘膜上皮や粘膜結合組織にとどまり、筋層には達していない状態です。 |
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筋層浸潤性がん病期Ⅱ期・Ⅲ期 | がんが筋層にまで入り込んでいる状態です。 |
転移性がん病期Ⅳ期 | がんがリンパ節や肝臓、肺、骨、副腎、脳など他の臓器に転移した状態です。 |
膀胱がんの病期※3
がんの深さや広がりにより、0~Ⅳ期の病期が決められています。
※表を左右にフリックしてご確認頂けます。

日本泌尿器科学会・日本病理学会・日本医学放射線学会 編. 腎盂・尿管・膀胱癌
取扱い規約 第1版. 金原出版, p56-65, 2011.より作図
0期 粘膜上皮にとどまっている。
Ⅰ期 粘膜上皮の下の粘膜下結合組織に広がっている。
Ⅱ期 筋層に達している。
Ⅲ期 筋層を越え、膀胱の周囲の脂肪組織や臓器に広がっている。
Ⅳ期 骨盤壁や腹壁に広がっている。または、がんの広がりに関係なくリンパ節転移か遠隔転移(離れた臓器への転移)のいずれか、あるいは両方がある。
腎盂・尿管がんの病期(ステージ)分類
腎盂・尿管がんの病期は、内視鏡でとってきた組織の病理診断と画像検査の結果で診断されます。
腎盂・尿管がんの病期※3
がんの深さや周辺の組織まで広がっているかどうかによって、0~Ⅳ期に分類され、病期によって治療方針が決められます。
※表を左右にフリックしてご確認頂けます。
日本泌尿器科学会・日本病理学会・日本医学放射線学会 編. 腎盂・尿管・膀胱癌
取扱い規約 第1版. 金原出版, p56-65, 2011.より作図
0期 粘膜上皮にとどまっている。
Ⅰ期 粘膜上皮の下の粘膜下結合組織まで広がっている。
Ⅱ期 筋層に達している。
Ⅲ期 筋層を越え、腎盂や尿管の周囲の脂肪組織や腎臓に広がっている。
Ⅳ期 隣接する臓器や、腎臓を越えて周囲の脂肪組織に広がっている。または、がんの広がりに関係なくリンパ節転移か遠隔転移(離れた臓器への転移)のいずれか、あるいは両方がある。
※1 日本泌尿器学会 編. 膀胱癌診療ガイドライン 2019年版. 医学図書出版, 2019. 「Ⅱ.診断」
※2 国立がん研究センターがん情報サービス「膀胱がん」治療(2021年7月時点)
https://ganjoho.jp/public/cancer/bladder/treatment.html
※3 日本泌尿器科学会・日本病理学会・日本医学放射線学会 編. 腎盂・尿管・膀胱癌取扱い規約 第1版. 金原出版, p56-65, 2011.
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【監修】山口大学大学院医学系研究科 泌尿器科学分野 大学院担当教授 松山豪泰 先生
更新年月:2021年8月