通院しながらがんの治療を続けるあなたへ 通院での抗がん剤による薬物治療は不安?
がんに対する薬物療法には、「化学療法」「内分泌療法(ホルモン療法)」「分子標的療法」などの様々な治療の種類があります。実際の薬物療法は、身体に潜むがんを治したり、がんの進行を抑えたり、あるいは症状を和らげたりすることを目的に行われます。
がんの治療は、手術をして退院したら終わりというケースだけではなく、通院しながら抗がん剤による薬物治療などを行うケースも多いです。
抗がん剤による薬物治療と聞くと、「怖い」「大変」というイメージがあるかもしれません。事前にしっかり説明を受けておくと、不安を軽減することができます。また、がんの治療中も気になることがあったら、その都度、看護師や薬剤師に相談しましょう。
がん治療中の過ごし方
抗がん剤による薬物治療は、治療を開始するときに、副作用が出る程度やタイミングを見るために入院で行うこともありますが、最近では主に外来(通院)で行うケースが増えています。最初は緊張するかもしれません。締め付けない服など、なるべくリラックスできる服装で行きましょう。がんの治療中は、音楽を聞いたり、テレビを見たり、読書をしたり、好きなことをして過ごすことができます。
また、治療後、人によってはすぐに倦怠感が出ることもあります。「おかしいな」と思ったら、無理に帰宅しようとせずに、看護師に一言伝えて少し休ませてもらうといいでしょう。
ラッシュの時間帯の移動もできれば避けましょう。
気になることは看護師、薬剤師に
がんの治療中は看護師や薬剤師がそばにいて、状態をチェックしたり、お薬の説明をしてくれたりします。
抗がん剤による薬物治療による副作用の程度は、お薬によっても、人によっても異なります。いつごろ、どんな症状が出やすいかを、看護師、薬剤師から事前にしっかり聞いておきましょう。人によっては、説明された以外の症状も出るかもしれません。そのときには、ちょっとしたことでも遠慮せず、看護師や薬剤師に伝えてください。
抗がん剤の薬物についてだけではなく、吐き気止めなど、副作用対策のお薬についても、どんなタイミングで飲めばいいのか、どのような副作用があるのかなど具体的に聞いておくと、安心です。お薬のことは看護師よりも薬剤師のほうが詳しいことが多いので、もし看護師に聞いてわからなければ、薬剤師にも聞いてみるといいでしょう。
家から連絡してもいい
抗がん剤による薬物治療中には、例えば「38度以上の発熱、1日4、5回以上の下痢、食事・水分が取れない、点滴挿入部位周囲の皮膚変化や痛みなどの症状が出たらすぐに病院に連絡を」と、説明を受けることがあります。入院治療であればすぐに医師や看護師が気づいて対応してくれますが、自宅にいる間や職場では自分で対応しなければいけません。その分、心配に感じる人は多いでしょう。そんなとき、外来化学療法室の看護師・薬剤師を病院外から頼ってもいいのです。
ある患者さんは、治療数日後から下痢が続き、外来化学療法室に連絡しました。「2、3日は様子をみてください」と言われたものの、やっぱり症状がおさまらなくて、外来を受診して整腸剤を処方してもらったら、ようやく下痢がおさまったそうです。また、風邪をこじらせたときに市販の風邪薬との併用が問題ないかを確認するために外来化学療法室に連絡して教えてもらったという方もいます。
入院していなくても、気になることがあったら相談できる人がいるというだけで、とても心強いものです。緊急時の連絡先(外来化学療法室直通の電話番号、救急外来の電話番号など)は、すぐにわかるようにしておきましょう。
【監修】福島県立医科大学 腫瘍内科学講座 主任教授 佐治 重衡 先生
更新年月:2024年11月
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