がん患者入門~入院・手術 麻酔から覚めたら?
がんの手術後、麻酔から覚めたら、どんな状態なのでしょうか?
さすがに普段通りとはいきませんが、痛みやだるさの程度、その他の症状も人それぞれです。
痛みがあれば、医師、看護師に相談しましょう。通常、がんの手術の翌日から少しずつ体を動かすように言われます。無理は禁物ですが、毎日少しずつ動かしていると、回復を実感できるでしょう。
がんの手術後、麻酔から覚めたら?
麻酔薬の投与を中止し、目が覚めるまでの時間は、がんの手術の種類や患者さんの状態によって異なります。局所麻酔か、全身麻酔かによっても違い、全身麻酔では完全に目が覚めるまでに時間がかかることがしばしばあります。一方、局所麻酔の場合、手術の進行がわかるほど意識ははっきりしていて、がんの手術中もスタッフと普通に会話をしていたという患者さんもいます。
麻酔から覚めた直後は、長い間眠っていたような気がしたり、あるいはほんの少ししか経っていないような気がして「もう終わったの?」と驚いたり、不思議な感じかもしれません。しばらくはぼんやりした状態が続き、熱が出たり寒気がしたりすることもあります。家族との面会や病室に移るタイミングは、その時の状態にもよるようです。
痛みは我慢せず取り除いてもらおう
がんの手術後、麻酔が切れた後の痛みは、同じ手術であっても個人差があります。痛い場合は、我慢をせずにナースコールを押して看護師に伝えましょう。
がんの痛みに対する鎮痛法には痛みの程度に応じて様々な手法が用いられます。経口の鎮痛薬や点滴の鎮痛薬のほかにも、神経ブロックなどという、痛みを感じる神経に直接的に作用する鎮痛法が用いられることもあります。また、痛みは、がんの手術直後が一番強いものです。日にちが経つにつれ、痛みは和らいでいきます。
そのほか、麻酔から覚めた後、特に全身麻酔後には、痰が出やすくなります。「ティッシュ箱をひと箱使い切った」という人もいるほどです。また、しびれや息苦しさ、だるさなどが残ることもあります。違和感があれば、すべて医師や看護師に伝えましょう。
少しずつ体を動かして回復を実感
痛みを取り除くことは、手術後の回復という意味でも大切です。痛みがあると体を動かすのが億劫になるでしょう。でも、最初はつらくても少しずつ体を動かすことで、回復している実感が湧きます。
状態によって異なりますが、通常はがんの手術の翌日から少しずつ体を動かすように言われます。開腹手術であっても同じです。まずは立って足踏みから始め、少しずつ歩く練習をしましょう。動けることが嬉しくてどんどん歩きたくなる人もいるかもしれませんが、急に動くと貧血を起こしたり、体に過度な負担がかかったりするので、医師や看護師の指示に従いましょう。そのほか、ベッドの上で軽くストレッチをしたり、ベッドサイドでスクワットをしたり、階段の昇り降りをしたり、無理のない範囲で少しずつ運動を行いましょう。
手足を思うように動かせなくてもどかしく思ったり、「元通りになるのか」と焦ったり、不安に思うことがあれば、医師や看護師に相談してみてください。症状によってはリハビリを提案されることもあります。
【監修】福島県立医科大学 腫瘍内科学講座 主任教授 佐治 重衡 先生
更新年月:2024年11月
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