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通院しながらがんの治療を続けるあなたへ お薬について相談したいときには?

かかりつけの薬局、持っていますか? がんの入院中や外来でのがん治療中は薬剤師が身近にいるけれど、普段はお薬について聞きたいことがあっても病院の薬剤師に会う機会がない……。そう感じている方は少なくないでしょう。

薬局の窓口

薬を服用する

がんでの通院治療が始まると、調剤薬局にお世話になる機会が増えます。薬剤師さんや薬局とは、ただ「処方せんを渡せば薬をくれる」だけの関係ではなく、「あなたの治療をサポートしてくれる“かかりつけ薬局”」として、もっと頼ってみましょう。

先輩がん患者さんたちの薬局の選び方

どの薬局をかかりつけの薬局として選ぶか、ですが、お薬を処方してくれればどこでも同じ、とは限りません。日常的な病気のケースでは、家や職場に近いところを選びがちですが、がんの場合は、「受診している病院の近くがいい」という声をよく聞きます。それは、がん治療に使うお薬は、どこの薬局でも常時すべてが揃っていないからです。(時間がかかることがありますが、取り寄せてもらうことは可能です。)また、ある患者さんは、がん患者さんへの対応に慣れていない薬剤師に、処方されたお薬について、ほかの患者さんにも聞こえるような大きな声で説明され、嫌な思いをしたそうです。一方、受診している病院の近くにある薬局の場合、がん患者さんも多く来るため、対応に慣れているのでしょう。不快な思いをしたという話をほとんど聞きません。

もう一つ、「薬局は一カ所に決めた方がいい」と言う先輩がん患者さんも多いです。それは、風邪や花粉症など、ほかの病気の治療薬との飲み合わせについて相談できるからです。複数の薬局を使い分けるのであれば、お薬手帳を持参して、薬剤師さんに渡しましょう。

薬局によって薬剤師の対応はさまざまです。もし、不快な思いをしたり、納得のいく説明を得られない場合は、かかりつけ薬局を変えることも選択のひとつです。

薬局薬剤師への質問・相談

お薬を処方してもらうだけではなく、先輩がん患者さんたちは、お薬の効果や副作用、飲み方といった一般的なことのほか、次のようなことも薬局薬剤師に質問・相談しているそうです。

  • 体調の変化やその日の予定に合わせた飲み方
    (副作用で眠気が出る場合、日中に運転が必要な日は、朝昼晩ではなく夜だけにする、または夕方と就寝前にする、など)
  • 複数の症状に対して処方されている場合、一つの症状が軽いときのお薬の組み合わせ方
  • サプリメントとの飲み合わせ
  • お薬代の負担を減らす工夫
    (ジェネリック医薬品を使う、など)

質問をするときには、「過去にこんなことがあったのですが……」「薬剤師さんご自身はどうされていますか?」など、相手が説明しやすい聞き方を心がけると、より具体的な情報やアドバイスをもらえるでしょう。

がんは、部位や病状によっては薬局との関係も長期に渡ります。主治医との関係と同じように、ちょっとしたコミュニケーションが大切です。信頼できる「かかりつけ薬局」は、きっとあなたの心強い味方になってくれるはずです。

お薬代に関しては、知らないままがんの治療が始まることがほとんどではないでしょうか。請求書を見て、あまりの高額にびっくりした、という話もよく聞きます。治療が始まる時点で、薬剤師やがん相談支援センターの医療ソーシャルワーカーに聞いてみてもいいでしょう。お薬代も高額療養費制度や医療費控除の対象になります。領収書はなくさないよう、必ず保管しておいてください。

また、医師も薬剤師も人間ですから、まれに間違いはあります。自分や家族の体に関わることなので、お薬を受け取ったらしっかり確認することは大切です。処方されたお薬に疑問を感じたら遠慮せずに問い合わせましょう。家に戻った後で、電話で質問・相談をしても、もちろん問題ありません。

お薬を飲み忘れないための工夫

毎日、あるいは毎食後に飲まなければいけないお薬を、飲み忘れてしまうことはありませんか? 飲み忘れを防ぐために先輩がん患者さんたちはどんな工夫をしているのか、紹介します。

  • スマートフォンなどのスケジュール管理アプリを活用
  • 細かな仕切りのついたお菓子箱をカレンダー風に装飾し、薬を分納
    (市販のピルケースなどでも可)
  • 朝、飲み忘れても、あとから服用できるように、薬を持ち歩く
  • 家族にも確認してもらう

自分の記憶のみに頼らないということがポイントのようです。

【監修】福島県立医科大学 腫瘍内科学講座 主任教授 佐治 重衡 先生

更新年月:2024年11月

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