急性リンパ性白血病(ALL)を学ぶ小児ALLの主な治療法

※このページでは、小児ALLの主な治療法について紹介しています。成人ALLの主な治療法についてはこちらをご覧ください。

1. フィラデルフィア(Ph)染色体がない場合(Ph陰性)1,2)

3~4種類の抗がん剤を用いた強力な化学療法が4~5週間にわたって行われます。寛解導入療法によって寛解が得られた場合は、続けて再発を防ぐための地固め療法を、それが終わったら維持療法を行います。維持療法は数年にわたって続けますが、飲み薬のため、治療をしながら学校生活など通常の生活を送ることもできます。 
特定の染色体異常や遺伝子異常がある場合、初期治療(寛解導入療法)の効果が十分でない場合には、造血幹細胞移植を行うことがあります。

2. フィラデルフィア(Ph)染色体がある場合(Ph陽性)1)

Ph染色体がある場合は、「チロシンキナーゼ阻害薬」という分子標的薬と、複数の抗がん剤を用いた化学療法の併用が行われます。 
チロシンキナーゼ阻害薬は飲み薬で、“TKI(ティーケーアイ)”という略称で呼ばれることもあります。

3. 中枢神経系(脳・脊髄)への浸潤の予防1-3)

白血病細胞が脳や脊髄などの中枢神経系に入り込むと(浸潤)、激しい頭痛や意識障害などの症状を引き起こすことがあります。そこで、中枢神経系への浸潤を予防するため、腰の部分の背骨に針を刺し、抗がん剤などの薬剤を直接注入する「髄腔内注射(髄注)」や、点滴による投与が行われます。中枢神経系への浸潤のリスクが高い場合は、頭部への放射線治療が追加されることもあります。 
通常、小児では寛解導入療法~地固め療法と同時期に行われます。

【出典】

1) 日本小児血液・がん学会編:小児白血病・リンパ腫診療ガイドライン2016年版 金原出版:8, 13-23, 2016

2) 国立がん研究センター:がん情報サービス 白血病〈小児〉 治療 
https://ganjoho.jp/public/cancer/leukemia/treatment.html (2023/07/04参照)

3) 宮崎仁:もっと知りたい白血病治療 患者・家族・ケアにかかわる人のために 第2版 医学書院:48-49, 2019

【監修】 金沢大学医学部血液内科 教授 宮本 敏浩 先生

更新年月:2024年9月

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