急性骨髄性白血病(AML)を学ぶAMLとは?

はじめに

急性骨髄性白血病(AMLエーエムエル)は、造血幹細胞から骨髄系に分かれた幹細胞(骨髄系幹細胞)ががん化した病気です。骨髄系幹細胞は、成熟すると赤血球や血小板、白血球の一部である顆粒球(好中球など)・単球になります1,2)
AMLでは血液をつくる骨髄の中に異常な細胞が増殖することで、正常な血液細胞が減少して、さまざまな症状が起こります1,2)

骨髄性白血病の中でもがん化する速度が早いタイプの白血病が、急性骨髄性白血病(AML)です。

1年間でAMLを発症するのは、人口10万人あたり約4人とされています2)。AMLは小児から高齢者の各年代で発症しますが、40歳以上になると発症する割合が高まります2,3)。小児の白血病のうち、AMLの割合は約25%とされ、1年間に約180人が新たにAMLと診断されています4,5)

図:造血幹細胞から血液ができるまで1)

図:造血幹細胞から血液ができるまで

急性骨髄性白血病(AML)の原因

急性骨髄性白血病(AML)は、造血幹細胞や成熟する途中の血液細胞に複数の遺伝子変異が起こり、異常が蓄積することで発症すると考えられていますが、異常が起きる原因は不明です2,3)
また、がんに対する放射線治療や薬物治療を受けたことのある人、ほかの血液の病気の人が発症することがあります(二次性AML)3,6)

急性骨髄性白血病(AML)の症状

急性骨髄性白血病(AML)の主な症状は、白血病細胞が骨髄や血液中で異常に増え、正常な赤血球、白血球、血小板がつくられなくなることであらわれます2,3)
赤血球が少なくなると貧血の症状(息切れや動悸)が出ることがあります。正常な白血球が少なくなると抵抗力が低下し、感染症にかかりやすくなります。血小板が少なくなることで、出血しやすくなり、鼻血が出やすくなったり、あざができやすくなったりもします2,3)

また、白血病細胞がさまざまな臓器・組織に浸潤(がん細胞が周囲の組織に入り込んで、増殖すること)すると、肝臓や脾臓、リンパ節が腫れて大きくなることがあります2,3)
骨や髄膜に浸潤すると、関節痛や頭痛などの症状があらわれたりすることもあります1,3)

図:急性骨髄性白血病(AML)の主な症状

【出典】

1) 国立がん研究センター:がん情報サービス 急性骨髄性白血病
https://ganjoho.jp/public/cancer/AML/index.html(2024/7/26参照)

2) 日本血液学会編:血液専門医テキスト 改訂第4版 南江堂:267-279, 2023

3) 三谷絹子監修:もっと知ってほしい急性骨髄性白血病のこと 2022年版, NPO法人キャンサーネットジャパン:4-5, 2022

4)国立がん研究センター:がん情報サービス 白血病〈小児〉について
https://ganjoho.jp/public/cancer/leukemia/about.html#anchor1(2024/7/26参照)

5)国立がん研究センター:がん情報サービス 白血病〈小児〉 患者数(がん統計)
https://ganjoho.jp/public/cancer/leukemia/patients.html(2024/7/26参照)

6) 日本血液学会編:造血器腫瘍診療ガイドライン 2023年版 金原出版:41-42, 2023

【監修】 金沢大学医学部血液内科 教授 宮本 敏浩 先生

更新年月:2024年9月

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