急性骨髄性白血病(AML)の治療方法造血幹細胞移植(骨髄移植、末梢血幹細胞移植、さい帯血移植)

造血幹細胞移植

急性骨髄性白血病(AML)の患者さんの治療法として、化学療法のほかに、造血幹細胞移植(骨髄移植、末梢血幹細胞移植、さい帯血移植)があります1)

造血幹細胞移植(骨髄移植、末梢血幹細胞移植、さい帯血移植)とは?

造血幹細胞移植で用いる幹細胞には、骨髄、末梢血幹細胞、さい帯血があります1)。そして、ドナーとなる人が血縁者(兄弟、親、子ども)や非血縁者(いわゆる他人)という違いがあります1)

非血縁者から骨髄あるいは末梢血幹細胞の提供を受けたい場合には、「日本骨髄バンク」が仲介してくれます。また、非血縁者からさい帯血の提供を受けたい場合には、「造血幹細胞移植情報サービス」に問い合わせ、全国のさい帯血バンクに保存されている中から適合するものを探すことになります。

造血幹細胞移植では、抗がん剤や放射線の治療を受けたあと、幹細胞が投与されます1)

うまくいけば、移植後2~3週間でドナーさんの血液細胞が増えてきます1)

造血幹細胞移植においても、化学療法の際に生じたものと同様の副作用や合併症が生じます2)

また造血幹細胞移植に特異的な合併症である移植片対宿主病いしょくへんたいしゅくしゅびょう(Graft versus Host Disease:GVHD(ジーブイエイチディー))を発症することがあります1)

移植片対宿主病いしょくへんたいしゅくしゅびょう(Graft versus Host Disease:GVHD(ジーブイエイチディー))

ドナーさんの細胞が白血病細胞を攻撃することは造血幹細胞移植における重要な治療効果のひとつなのですが、患者さん自身を攻撃する場合は、移植片対宿主病いしょくへんたいしゅくしゅびょう(GVHD)という病気になります1)。移植片とはドナーさんの事、宿主とは患者さんの事を意味しています。

急性GVHDは、皮膚、肝臓そして腸に主に現れます。軽微な症状で治療を要さない場合から、重い症状が出て治療としても致死的な状態になる場合まで症状の重さは様々です1)

慢性GVHDは、皮膚や関節が硬くなったり、口の粘膜が荒れたりする症状があらわれます。長期間の治療が必要となる場合があり、患者さんの生活の質が低下します1)

【出典】

1) 医療情報科学研究所編:病気がみえるvol.5 血液 第2版 メディックメディア:200-206, 2017

2) 国立がん研究センター:がん情報サービス 造血幹細胞移植 移植の際の副作用・合併症 2019年7月22日
https://www.ncc.go.jp/jp/rcc/about/pediatric_leukemia 2022/7/19参照

【監修】東北大学大学院医学系研究科 血液・免疫病学分野(血液・免疫科)教授 張替秀郎 先生

更新年月:2022年11月

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