がんとつきあう(がん治療の副作用)がん治療と下痢

下痢とは?

下痢は、便のなかの水分が過剰になり、排便の回数が一般的に一日3回以上と増加した状態です※1
通常、口から摂取した食べ物は咀嚼(そしゃく) され、食道や胃、小腸を通過しながら消化され液状となります※2。その後、大腸で水分が吸収されて、固形状の便となり排泄されます※2。ここで、大腸を通過する速度が速すぎると下痢にいたります※2

がん患者さんの下痢とは?

がん患者さんの下痢の原因は多岐にわたります。
がん治療に関連するものとして、化学療法などの薬物療法や手術、放射線療法による影響※3があります。

薬物療法の場合

  • 治療薬によって腸管の蠕動(ぜんどう)運動が活発になるために起こる下痢
  • 腸の粘膜が傷ついたり、炎症を起こしたりすることで生じる下痢※4 など

手術の場合

大腸がんの手術後で腸を切除した影響による下痢※5 など

放射線療法の場合

腹部・骨盤内への照射による下痢※1 など

また、がんそのものが原因になることもあります。消化器系がんである大腸がん患者さんは、消化管に生じたがんに腸管がふさがれることにより、下痢になることがあります※6
その他にも、がんに直接関係しませんが、影響のあるものとして、細菌やウイルスによる感染症、そして例えば過敏性腸症候群※7、甲状腺疾患※7、糖尿病※7といった、ほかの疾患によるものなどがあります。

慢性的な下痢は脱水や栄養障害を引き起こしたり、肛門の周りに痛みや炎症を生じさせたりすることなどから、心身ともに負担が生じます※1。下痢による負担をなるべく軽減するために、がん患者さんが上手に自己コントロールするための情報やアドバイスを「下痢の対処法」でご紹介しています。ご自分に合った対処法を見つけて、できるだけ快適でストレスのない生活を送れるよう、医療スタッフに相談してみましょう。

※1 国立がん研究センター がん情報サービス 下痢 もっと詳しく ~がんの治療を始めた人に、始める人に~
https://ganjoho.jp/public/support/condition/diarrhea/ld01.html 2023/2/20参照

※2 運動・からだ図解 消化器のしくみ. 監修; 山田篤生, マイナビ出版, 2020年9月, 東京.

※3 国立がん研究センター がん情報サービス 下痢 ~がんの治療を始めた人に、始める人に~
https://ganjoho.jp/public/support/condition/diarrhea/index.html 2023/2/20参照

※4 医薬品医療機器総合機構 重篤副作用疾患別対応マニュアル(患者・一般の方向け) 重度の下痢
https://www.pmda.go.jp/files/000240143.pdf 2023/2/20参照

※5 国立がん研究センター がん情報サービス 大腸がん(結腸がん・直腸がん)治療
https://ganjoho.jp/public/cancer/colon/treatment.html 2023/3/9参照

※6 国立がん研究センター がん情報サービス 大腸がん(結腸がん・直腸がん)について
https://ganjoho.jp/public/cancer/colon/about.html 2023/2/20参照

※7 ≪がん看護実践ガイド≫病態・治療をふまえたがん患者の排便ケア. 監修; 日本がん看護学会, 医学書院, 2016年9月, 東京.

【監修】帝京大学医学部内科学講座腫瘍内科 渡邊清高 先生

更新年月:2023年11月

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