がんとつきあう(がん治療の副作用)血圧を下げるための日常生活の工夫高血圧は、生活習慣を見直すことで予防や改善が期待できます※1。具体的には、減塩、肥満の予防・改善、節酒、運動、食事のパターンの見直し、禁煙などがあります※1。このような生活習慣の改善は、組み合わせて行うことによってより効果が発揮されます※1,2。また、防寒や情動ストレスのコントロールも有効といわれています※2。ここでは一般的な高血圧の患者さんに対する日常生活の工夫について紹介します。塩分は控えめに食塩の摂取量は1日6g未満が目標です。塩分の摂り過ぎは高血圧だけでなく、脳卒中(脳梗塞や脳出血など)や心筋梗塞、腎臓病になる可能性があります。これらを招かないためにも、調理や食事の際には以下のポイントを意識しましょう※1。香辛料や香味野菜、果物の酸味を組み合わせる(刺激の強すぎる香辛料は控える)減塩の調味料を使う塩分の多い外食や加工品を控えるむやみに調味料を使わないめん類の汁は残す食べ過ぎを避ける肥満に気を付けましょう肥満かどうかはBMI*で判断できます。BMIの正常範囲は18.5~25.0(kg/m2)未満です※1。肥満の主な原因は食べ過ぎと運動不足です。また、肥満は高血圧や糖尿病、脂質異常症、高尿酸血症、肝障害、腎障害などの原因にもなります※1。適切な食生活を維持し、適度な運動習慣で、BMI 25.0未満を目指しましょう※1。*BMI(Body Mass Index)=体重(kg)÷身長 (m)2アルコールは適量を守りましょうお酒の飲み過ぎも高血圧の原因になります。また、飲酒は高血圧以外にも脳卒中(脳梗塞や脳出血など)や心筋症、心房細動、夜間睡眠時無呼吸などの原因にもなります※1。飲酒の適度な量は、日本酒ならおおよそ1合、ビールなら中瓶1本、焼酎では半合、ウィスキー・ブランデーではダブルで1杯、ワインではグラス2杯程度までです※1。ついついお酒を飲み過ぎてしまう人は、飲み会などの飲酒の機会を避けることもひとつの方法です※1。適度な運動をしましょう高血圧をはじめとする生活習慣病の予防や治療には、早歩きやステップ運動 (踏み台昇降運動)、スロージョギング、ランニングのような有酸素・持久性・動的運動がよいとされています。運動の強さは、ややきつい程度にとどめます。運動時間は毎日30分以上、または週180分以上が目安ですが、運動に慣れるまでは、軽め、短めの運動から少しずつ負荷をかけていきましょう。筋力を維持するためのレジスタンス運動*やストレッチ運動を組み合わせると効果的です。運動時間が取れない場合は、階段を使う、目的地が遠くなければ歩く、掃除・片付けなどの日常生活活動を増やすなど、日常的に体を動かすことを心がけましょう※1。*スクワットや腕立て伏せ、ダンベル体操など、標的とする筋肉に抵抗(レジスタンス)をかける動作を繰り返し行う運動食事を工夫しましょう野菜や果物のほか、魚類を積極的に摂りましょう。ただし、肥満の人や糖尿病の場合、果物の摂り過ぎには注意が必要です。また、飽和脂肪酸*やコレステロールの多い食品を控えましょう※1。*飽和脂肪酸は肉の脂身、バター、ラード、生クリームなどに多く含まれます。パームヤシやカカオの油脂、インスタントラーメンなど加工食品にも含まれています。一般的には、冷蔵庫の中で固まっている油脂は飽和脂肪酸の多い油脂であることが多く、サラダ油や魚油のような液体の油は、不飽和脂肪酸の多い油脂であることが多くなっています※3。禁煙を心がけましょう喫煙は、高血圧だけでなく、脳卒中や心筋梗塞などの危険因子であることが分かっています※2。喫煙を控え、受動喫煙も避けましょう※1。高血圧の治療では生活習慣の改善が重要です。これらのポイントを意識して日常生活を送るようにしましょう。また、不明なことがあれば何でも医療スタッフに相談するようにしましょう。 ※1 一般向け「高血圧治療ガイドライン2019」解説冊子 高血圧の話, 編集 特定非営利活動法人日本高血圧学会, 特定非営利活動法人日本高血圧協会, 認定特定非営利活動法人ささえあい医療人権センターCOML, 2019年10月25日 発行, ライフサイエンス出版.※2 日本高血圧学会高血圧治療ガイドライン作成委員会 編 高血圧治療ガイドライン2019, ライフサイエンス出版.※3 厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト e-ヘルスネットhttps://kennet.mhlw.go.jp/information/information/metabolic/m-05-004 脂質異常症 (2025/8/5参照)【監修】帝京大学医学部内科学講座腫瘍内科 渡邊清高 先生更新年月:2025年8月ONC46P014A