がんとつきあう(がん治療の副作用) 吐き気(はきけ)・嘔吐(おうと)の症状 がん患者さんがしばしば経験する症状として、吐き気や嘔吐があります※1。ここではその症状について、それぞれご紹介します。 吐き気の症状 吐き気とは、吐きそうになる感覚のことで「ムカムカする」、「食べると吐きそう」、「においで吐き気がする」などと表現されます※2。悪心(おしん)ともいいます※2。 嘔吐の症状 嘔吐とは、胃や腸のなかにあるものが食道を逆流して、口から体外に吐き出されることを指します※2。 吐き気・嘔吐に伴いがちな、ほかの症状 嘔吐すると、水分とともに体内からカリウムやナトリウム、塩素などの電解質も放出されることにな ります※3。体内から水分や電解質が失われることで、次のような症状を伴うことがあります※3。 全身の倦怠感(だるさ) 口のなかの乾燥 頭痛 けいれん 意識が混濁(こんだく)する めまい 血圧の低下 脈が速くなる 尿の量が減少する 吐き気・嘔吐によって食べものの吸収が悪くなったり、食べる意欲が低下したりして、体力の低下や栄養不良へとつながることもあります※4。吐き気・嘔吐の症状がある時は、これらの症状にも注意が必要です。 吐き気・嘔吐はとてもつらい症状です。症状を緩和することで、日々の生活をできるだけ快適に過ごすことができ、治療への前向きな姿勢にもつながります。症状緩和のためにできる工夫を「がん治療に伴う吐き気・嘔吐の対処法」で紹介していますので、参考にしてみてください。 ※1 国立がん研究センター がん情報サービス 吐き気・嘔吐 もっと詳しく https://ganjoho.jp/public/support/condition/nausea/ld01.html 2023/2/22参照 ※2 ≪がん看護実践ガイド≫がん治療と食事 治療中の食べるよろこびを支える援助. 監修; 日本がん看護学会, 医学書院, 2016年6月, 東京. ※3 長谷川 久巳. 脱水. がん看護 2008; 13: 175-178. ※4 小林由佳, 中西弘和. がん化学療法に伴う摂食障害(悪心嘔吐、味覚異常など)の対策. 静脈経腸栄養 2013; 28: 627-634. 【監修】帝京大学医学部内科学講座腫瘍内科 渡邊清高 先生 更新年月:2023年10月 ONC46N006C