がんとつきあう(がん治療の副作用)がん治療と骨髄抑制がん治療には、抗がん作用を持つ薬剤による薬物療法(細胞障害性抗がん薬による化学療法や分子標的薬による治療、ホルモン治療薬など)や放射線療法があります※1。これらの治療は、がん細胞だけでなく骨髄にある健康な細胞にもダメージを与えることがあります※2。骨髄は骨の中にある組織で、白血球・赤血球・血小板などの血液成分をつくっています※3。骨髄にある細胞が、がん治療でダメージを受けると、これらの血液成分をつくる機能が正常に働かなくなります※2。この副作用のことを「骨髄抑制」と呼びます※2。骨髄抑制は多くの抗がん剤(細胞障害性抗がん薬や分子標的薬)、放射線による治療でみられる副作用です。細胞障害性抗がん薬は、分裂・増殖の盛んながん細胞に働きかける作用が強い一方で、同じく分裂・増殖の著しい健康な骨髄細胞にまで作用してしまいます※4。分子標的薬も同様に骨髄抑制を引き起こすものがあります※5。放射線療法では、放射線の当たる部位や照射量によって、骨髄抑制がみられる場合があります※6, 7。骨髄抑制によって起こる副作用は、白血球・赤血球・血小板など、どの血液成分がダメージを受けたかによっても異なります。例えば、赤血球が影響を受けると「貧血」が、白血球が影響を受けると白血球減少・好中球減少などに伴い「感染症」が、血小板が影響を受けると「出血」がみられるようになります※8。これらの副作用は、吐き気・嘔吐や、見た目にもはっきりと症状がわかる脱毛などの副作用とは異なり、自分では症状を自覚しづらい点に注意が必要です※9。詳しい解説は「骨髄抑制とその原因」のページをご覧ください。重い症状が認められる場合は、医療スタッフに相談しましょう。骨髄抑制などの副作用が起こっていないかどうかを確認するために、採血検査が行われます※10。※1 国立がん研究センター がん情報サービス 薬物療法https://ganjoho.jp/public/dia_tre/treatment/drug_therapy/index.html (2025/7/9参照)※2 国立がん研究センター がん情報サービス 用語集 骨髄抑制https://ganjoho.jp/public/qa_links/dictionary/dic01/modal/kotsuzuiyokusei.html (2025/7/9参照)※3 国立がん研究センター がん情報サービス 用語集 骨髄https://ganjoho.jp/public/qa_links/dictionary/dic01/modal/kotsuzui.html (2025/7/9参照)※4 Cancer Research UK How chemotherapy workshttps://www.cancerresearchuk.org/about-cancer/treatment/chemotherapy/how-chemotherapy-works (2025/7/9参照)※5 Wilkes GM et al. Targeted Therapy: Attacking Cancer with Molecular and Immunological Targeted Agents. Asia Pac J Oncol Nurs 2018; 5: 137-155.※6 国立がん研究センター がん情報サービス 放射線治療の実際https://ganjoho.jp/public/dia_tre/treatment/radiotherapy/rt_02.html (2025/7/9参照)※7 武本充広ら. XV 放射線治療. 岡山医学会雑誌2008; 120: 313-320.※8 Canadian Cancer Society Low blood cell countshttps://cancer.ca/en/treatments/side-effects/low-blood-cell-counts (2025/7/9参照)※9 黒木利恵. 【骨髄抑制】:感染・貧血・出血と症状マネジメント. がん看護2006; 11: 188-197.※10 久保田靖子. 血液検査を読む:骨髄抑制. がん看護2011; 16: 146-147.【監修】帝京大学医学部内科学講座腫瘍内科 渡邊清高 先生更新年月:2025年9月ONC46P017A