がんとつきあう(がん治療の副作用)皮膚障害の対処法
手足症候群/発疹・紅斑/色素沈着/乾燥/爪
抗がん剤(化学療法)や分子標的薬によるがん治療の副作用として、手足症候群をはじめとする発疹・紅斑、色素沈着、乾燥、爪などの皮膚障害があります。先生にこれらの症状が出る可能性があるといわれた場合には、以下のポイントに注意しましょう。症状がでたら皮膚科と連携して、投薬の中止・再開、減量などを行っていく必要があります。
日常生活のポイント
皮膚障害を生じると、手先の細かな作業に困難を伴うことがあります。手足症候群に見られるように、症状が悪化すると立ったり歩いたりするのにも支障を来します。これらの症状を和らげたり、予防したりするためには、日常生活での心配りも重要です。
入浴
- できるかぎり入浴やシャワー浴を行い、清潔にする。
- 表皮の水分保持機能を保つために、お風呂のお湯はぬるめにする。
石鹸
- 石鹸を使って皮膚の清潔を保つ。
- しっかりと泡立て、皮膚を傷付けないようそっとやさしく洗う。
- 石鹸の成分が残らないよう十分にすすぐ。
保湿剤
- 皮膚に十分なうるおいを与えるために、クリーム・ローション、ハンドクリームなどの保湿剤を、やさしくなじませるように塗って保湿する。
紫外線
- 紫外線による刺激を避けるため日光に直接当たらないよう気を付ける。
- 日傘をさしたり、長袖のものを羽織る。
- 低刺激の日焼け止めを使用する。
- 帽子や手袋で保護する。
水仕事
- 水仕事を行う場合には、手袋を使用する。
衣類
- 肌を締め付けない服や靴下を選ぶ。
- 肌への刺激が少ないものを選ぶ。
- 靴下や手袋で保湿効果を高めて保護。
爪の障害の対処法
治療の副作用として、爪が薄くなったり、割れたり、時にははがれ落ちたりすることもあります。対処法として、以下が挙げられます。
- 爪を清潔に保つ。
- 爪や爪の周りをクリームなどでしっかり保湿する。
- 爪を短く切る。深爪しないように注意する。
- 爪の保護をする。
爪が薄くなった場合には、トップコートなどを利用して保護する。 - リムーバーは皮膚に刺激を与えるため、できるだけ使用を控える。
爪の切り方
- 入浴のあとなど爪がやわらかくなっているときに、爪の白い部分を1mm程残して、まっすぐ切る。爪が弱くなっている場合にはヤスリを使用する。
- 爪の角はヤスリを使って丸く削る。深く切り込まないように注意。
(角を深く切り込み過ぎると、巻き爪や陥入爪(かんにゅうそう)の原因となることもある。)
患者さん自身がセルフケアを行うことでつらい症状を和らげたり、予防したりすることができます。皮膚を清潔に保ち、乾燥を防いで、皮膚に圧力をかけたり傷付けたりしないようにすることが大切です。
※不明な点がある場合は、必ず医療従事者に相談しましょう。
【監修】独立行政法人国立病院機構南和歌山医療センター 呼吸器科 山本信之 先生
更新年月:2020年9月