がんとつきあう(がん治療の副作用)吐き気(はきけ)・嘔吐(おうと)の対処法
~日常生活のポイント
抗がん剤や分子標的薬などによる薬物治療の副作用である吐き気・嘔吐の症状を和らげたり、予防したりするために制吐剤が用いられることは述べてきた通りですが、日常生活での対処法には次のようなものがあります。
日常生活での対処法
食事
吐き気・嘔吐がある場合には、無理して食べる必要はありません。食べられるものを食べられるだけ口にします。何日か食事が取れないことがあっても過度な心配はせずに、脱水予防のためにできるだけ水分を取ることを心がけます。
水分補給には、補水液やスポーツ飲料、ジュースなどがオススメです。水分の摂取も難しいような場合には、医療スタッフに相談して、適切な処置を受けましょう。
- 食べやすいもの
自分が食べやすく、食べられるものを無理のない範囲で食べる。 - 消化のよいもの
おかゆや豆腐、うどん、プリン、ヨーグルトなど消化のよいもの。 - さっぱりしたもの
口にしやすい果物やアイス、ゼリーなど、冷たくてさっぱりしたもの。 - カリウムやナトリウムなど電解質を多く含むもの
嘔吐による脱水症状を防ぐためにも、電解質を多く含む食べ物を取る。カリウムを多く含む食品 バナナやほうれん草、きな粉など ナトリウムを多く含む食品 昆布茶や梅干し、固形コンソメなど
スープや果物・野菜をすりおろしたり、裏ごししたり、ミキサーにかけてジュースにしたりするのも一案です。また、冷たいものを食べたり、冷ましてから食べたりすることで喉を通りやすくなります。においによる刺激は、吐き気・嘔吐を引き起こす要因になりやすいので、においの強くない食べものを選びましょう。
口内の衛生
口の中を清潔に保ちましょう。うがいなどで口の中をさっぱり気持ちよくすることで、吐き気や嘔吐の予防につながります。うがいには、レモン水や炭酸水、番茶、氷水などもオススメです。
環境づくり
吐き気や嘔吐を誘う香りの強い花や食品を置かないなど、環境づくりも大切です。部屋は清潔に保ち、匂いがこもらないよう空気の入れ替えを行いましょう。嘔吐で汚れた衣類、寝具などは速やかに取り替え、快適な環境づくりに配慮しましょう。
姿勢
急な動きが嘔吐をもたらすこともあるため、ゆっくりと動いて無理のない姿勢を整えます。この時、姿勢を横向きにすることで(難しい場合は顔を横に向けます)、嘔吐したものが誤って気管に入ってしまう誤嚥(ごえん)を防ぎます。
衣類
ボタンをはずすなど衣服をゆるめて、身体をラクにします。嘔吐で汚れた場合は、すぐに取り替えます。
精神面でのサポート
吐き気・嘔吐は精神的な要因も大きいため、不安を取り除くような言葉がけや背中をさするなどのスキンシップが症状を和らげたり、予防したりすることにつながります。
【監修】独立行政法人国立病院機構南和歌山医療センター 呼吸器科 山本信之 先生
更新年月:2020年9月