多発性骨髄腫(MM)を学ぶ自家造血幹細胞移植自家造血幹細胞移植とは?自家造血幹細胞移植(じかぞうけつかんさいぼういしょく)は、患者さん自身の正常な造血幹細胞(白血球・赤血球・血小板のもとになる細胞)を採取して保存しておき、大量化学療法による「移植前処置*」のあと、患者さんの体内に輸注する治療法です。 患者さん自身の造血幹細胞を移植することから、適応するドナーを探す必要はなく、合併症や感染症のリスクが低いという特徴があります。一方で、造血幹細胞を採取するときにがん細胞が混入する場合があり、再発のリスクもあります1-3)。図:自家造血幹細胞移植の流れ[出典1,4より作図]*移植前処置(移植前治療):抗がん剤や全身放射線照射、免疫抑制剤を組み合わせた移植の前に行う治療のことで、通常は移植の約1週間前から行われる。体内に残存するがん細胞をできるだけ壊滅させる5)。自家造血幹細胞移植の条件自家造血幹細胞移植の適応があるかどうかは、年齢や全身状態、疾患関連因子などにより評価されます。移植時に併用される大量化学療法は強力な治療なので、重大な基礎疾患がなく医学的に十分に耐えうる状態である必要があり、通常65歳未満に勧められますが、全身状態のよい一部の高齢者では移植適応となることもあります3,6)。【出典】1) 国立がん研究センター:がん情報サービス 診断と治療 造血幹細胞移植[更新・確認日:2023年12月14日] https://ganjoho.jp/public/dia_tre/treatment/HSCT/index.html(2024/9/26参照)2) 国立がん研究センター:がん情報サービス 診断と治療 造血幹細胞移植 造血幹細胞移植とは [更新・確認日:2023年12月14日] https://ganjoho.jp/public/dia_tre/treatment/HSCT/hsct01.html#blockskip(2024/9/26参照)3) 神田善伸監修:ウルトラ図解 血液がん 法研:84-87, 138-141, 20204) Miceli T, et al. Clin J Oncol Nurs. 2013; 17 Suppl: 13-245) 日本造血・免疫細胞療法学会:患者さんの情報:7-1 移植前処置治療 https://www.jstct.or.jp/modules/patient/index.php?content_id=16(2024/9/26参照)6) 日本血液学会編:造血器腫瘍診療ガイドライン2023年版 金原出版:386-388, 2023【監修】 独立行政法人国立病院機構 岡山医療センター 血液内科 臨床研究部長 角南一貴 先生更新年月:2024年10月ONC46O043A