多発性骨髄腫(MM)を学ぶ治療効果の判定

治療効果の判定基準

多発性骨髄腫の治療効果は、血液や尿に含まれるMタンパクの量、画像診断による骨の病変、骨髄中の形質細胞などの要素を組み合わせて判定されます1,2)

一般にがんの効果判定では、治療によって状態が改善することを「奏効そうこう」、悪化することを「増悪ぞうあく」、変化がみられないことを「安定」といいます3)。  
多発性骨髄腫では、図のように「奏効」を細かく分類し、どの程度治療の効果があったのかを判定しています。

図:多発性骨髄腫の治療効果判定基準(IMWGの統一効果判定基準)[出典2)より作表]

「微小残存病変(MRDエムアールディー)陰性」とは?

最近では、上記で紹介した最も高い効果である「厳格な完全奏効(sCRエスシーアール)」よりもさらに高い治療効果を示す、「微小残存病変(MRD)陰性」という新しい基準も登場しています。 
この背景には、新しい薬剤が登場したことで、これまでの効果判定基準では測れないほど高い治療効果を得られる患者さんが出てきたことや、検査技術の進歩によって、治療後に残った微量のがん細胞まで検出可能になったことなどがあります2)

【出典】

1) van de Donk NWCJ, et al.: Lancet 2021; 397: 410-427

2) 日本骨髄腫学会編:多発性骨髄腫の診療指針第5版. 33-36, 文光堂, 2020

3) 国立がん研究センターがん情報サービス 用語集:治療効果判定[更新・確認日:2020年10月19日] 
https://ganjoho.jp/public/qa_links/dictionary/dic01/modal/RECIST.html (2024/1/25参照)

【監修】 独立行政法人国立病院機構 岡山医療センター 血液内科 臨床研究部長 角南一貴 先生

更新年月:2024年4月

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